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淡々三国志  作者: ンバ
蜀書第六、関羽伝
4/603

一、恩愛兄弟の如く

1.

關羽字雲長、本字長生、河東解人也。亡命奔涿郡。先主於郷里合徒衆、而羽與張飛為之禦侮。先主為平原相、以羽・飛為別部司馬、分統部曲。先主與二人寢則同牀、恩若兄弟。而稠人廣坐、侍立終日、隨先主周旋、不避艱險。先主之襲殺徐州刺史車冑、使羽守下邳城、行太守事、而身還小沛。


(訳)

関羽かんうあざな雲長うんちょうといい

もとの字を長生ちょうせいという。

河東かとう(かい)県の人である。


亡命して涿たく郡に出奔した。


先主(劉備りゅうび)が郷里に於いて衆徒を集めた時

関羽は張飛ちょうひとともに彼の護衛となった。


先主が平原へいげんしょうとなると

関羽と張飛を別府司馬べつぶしばに任じて

兵を分けてそれぞれに指揮させた。


先主は二人と同じ寝台で休み

恩愛は兄弟の如くであった。


しかし人が大勢集まる席に於いては

終日に渡って侍立し

先主に付き従って奔走し

艱難や逆境を厭わなかった。


先主が徐州じょしゅう刺史の車冑しゃちゅう

襲撃し殺害すると、関羽に下邳かひの城を守らせ

太守の業務を代行させ、自身は小沛しょうはいへ帰った。


(注釈)

三国志を書いた陳寿ちんじゅは蜀出身の人なので

祖国の皇帝でもある劉備を名指ししません。

基本的に蜀の記述においては

先主せんしゅ」と記されます。

二代目の劉禅りゅうぜんが「後主こうしゅ」です。


三国志は超大雑把に分けると

西晋せいしんの時代に書かれた

正史せいし三国志」と


みんの時代に書かれた通俗小説

「三国志演義(えんぎ)」の二つがあります。


前者は史書としての「三国志」

後者は大衆娯楽としての「三国志」です。


各々の記述の違いについて、

列伝を読み解きながら補足していきます。


関羽の出身地、かい県には

塩湖があり、塩の産地として有名です。

関羽が現代で商売の神様として

祀られているのも、商人らが

地元の英雄として、

信義に厚いとされる関羽を

広告塔に仕立てたからだと考えられます。



そして、一説によれば塩の利益関係で

役人と悶着起こして故郷を出奔したとか。


それに伴って改名したとすれば

あざなが二つ載ってるのも自然?


また、関羽の元の名前は

馮賢ふうけん」という説もあり


「三国志集解(しっかい)」では

范長生はんちょうせい」という人がいて、

あざなが被ってしまったため

雲長うんちょう」に改めたという経緯が語られます。


「范長生は130歳まで生きていた」と

いう部分がなければ信じていました。


そして幽州ゆうしゅう涿たく郡で劉備と出会って

用心棒的な事を始めました。

やはりある程度、腕っ節が強いんでしょう。


原文では「禦侮ぎょぶ」とあるので

劉備が周りから舐められないように

関羽と張飛が威嚇していた、という

ニュアンスにもなりそうです。



劉備・関羽・張飛は意気投合し

同じベッドで寝るほど親密になります。


まるで兄弟のような恩をかけ、

関羽と張飛は、劉備のためなら

どんな逆境にも耐えられる……


「生まれる日は違っていても

死ぬ時はいっしょだぜ!!」という

三国志演義における桃園とうえん結義の

元になった描写っぽいです。


3人が同じベッドで寝ているという事実に

いかがわしい妄想を

逞しくさせてしまいそうな時は

うち二人はヒゲのおっさんと

思うようにしましょう。


劉備が平原の相になった時期は

まだ公孫瓚こうそんさんの元に身を寄せていた頃です。

191〜2年ごろ??


この頃から関羽と張飛は

劉備の別働隊を指揮するようになります。


劉備が車冑しゃちゅうを殺害したとあるのは

199年ごろ。

曹操の元を離れて小沛しょうはい

独立したものの、すぐ破られて

関羽は曹操に囚われます。

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