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淡々三国志  作者: ンバ
魏書第十五、賈逵伝
364/603

註八、己が身に勝負の念を持つべからず

註8.

魏略曰:休怨逵進迟,乃呵责逵,遂使主者敕豫州刺史往拾棄仗。逵恃心直,謂休曰:「本爲國家作豫州刺史,不来相爲拾棄仗也。」乃引軍還。遂與休更相表奏,朝廷雖知逵直,猶以休爲宗室任重,两無所非也。魏書云:休猶挟前意,欲以後期罪逵,逵終無言,時人益以此多逵。習凿齒曰:夫賢人者,外身虚己,内以下物,嫌忌之名,何由而生乎?有嫌忌之名者,必與物爲對,存胜負於己身者也。若以其私憾敗國殄民,彼雖倾覆,於我何利?我苟無利,乘之曷爲?以是稱说,臧获之心耳。今忍其私忿而急彼之憂,冒難犯危而免之於害,使功显於明君,惠施於百姓,身登於君子之涂,義愧於敌人之心,雖豺虎猶將不觉所復,而况於曹休乎?然則济彼之危,所以成我之胜,不计宿憾,所以服彼之心,公義既成,私利亦弘,可謂善爭矣。在於未能忘胜之流,不由於此而能济胜者,未之有也。

(訳)

魏略にいう、

曹休そうきゅうは賈逵の進軍が遅かった事を怨み

そこで賈逵を叱責した。


遂には主だった者を遣わして

豫州刺史(賈逵)に

棄ててきた武器を拾いに往かせた。


賈逵は心の真っ直ぐさを恃んで

曹休に言った。


「本来は国家の為に豫州刺史を作しているのです、

棄てた武器を拾う為に来たのではありません」


かくて、軍を引き連れて帰還した。


遂には曹休とともに上奏合し合う事になり、

朝廷は賈逵が正しいと理解してはいたが、

曹休もまた宗室にして

重役を任されていたために、

どちらも非難される事はなかった。


魏書にいう、

曹休はなおも以前の気持ちを挟み、

期日に遅れたという事で

賈逵を罪に落とそうとしたが、

賈逵は終ぞ話さなかった。


当時の人はこの件から

ますます賈逵の事を称えた。


習鑿歯しゅうさくしはいう、

そもそも賢人というものは

外面でな躬ら己を虚しくし、

内面では人物にへり下り、

何に由りて(悪い評判が)生じよう?


嫌忌の名状が生じるという事は

必ず人物へ対抗を為しているという事で

己が身に於いて勝負を存ずるからである。


もしその私情によって

国を敗亡させ民を殄滅させたなら

彼方を傾覆させたと雖も

自分にとって何の利益となろうか?


自分にとって苟且かりそめにも利益なくば

これに乗じたとて何を為せよう?


これを以て称えたりよろこんだりするのは

臧获(奴婢)の心でしかない。


今、その私忿を忍んで彼方の憂患を除き、

難事を冒し危険を犯してこれを害悪から免れさせ、

明君に功績を顕著にして百姓に恩恵を施せば

自身は君子の道に登り、

義により敵人の心を慚愧させたなら

豺や虎といえども、なお

報復する所を覚えまい。

況してや、曹休ならば尚更であろう。


然るに則ち、彼方の危難を救う事は

以て自分の勝利を成す所であり、

宿憾を計らぬ事は

以て彼方の心を帰服させる所であり、

公義既に成れば私利もまた弘く、

争いに長じていると謂うべきであろう。


勝利の流儀を忘れられない者で

これらの方法に由る事なく

勝利を成し遂げられた者は

いまだいないのである。


(註釈)

曹休

「賈逵は周りをナメてるから

長官にしないほうがいいんじゃないすか」


曹休

「助けに来るのがおせーんだよ!

落とした戦具全部拾って来い、ボケが!」


曹休めっちゃ嫌なヤツに書かれてる。


性格的に、賈逵って

家柄に胡座かいてるタイプと

正面衝突しそうだもんね。


また、ラストの習鑿歯の言葉を聞いて

ハッとする部分がありました。



悪い評判が立つのは、己が身に

「勝負」の念を抱いているからだと。


私憤を捨てて、あなたの敵の

悩みについて考えよう。

兼ねてよりのわだかまりを

水に流して救ってあげれば

あちらを救う事になり

それが自分の勝利になる、だって。


イエス様の

あなたの敵を愛しなさい、に

通じるところがあるわね。

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