表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
淡々三国志  作者: ンバ
蜀書第六、張飛伝
30/603

二、義にて厳顔を宥す

2.

先主入益州、還攻劉璋、飛與諸葛亮等泝流而上、分定郡縣。至江州、破璋將巴郡太守嚴顏、生獲顏。飛呵顏曰:「大軍至、何以不降而敢拒戰?」顏答曰:「卿等無状、侵奪我州、我州但有斷頭將軍、無有降將軍也。」飛怒、令左右牽去斫頭、顏色不變、曰:「斫頭便斫頭、何為怒邪!」飛壯而釋之、引為賓客。飛所過戰克、與先主會于成都。益州既平、賜諸葛亮・法正・飛及關羽金各五百斤、銀千斤、錢五千萬、錦千匹、其餘頒賜各有差、以飛領巴西太守。


(訳)

先主が益州えきしゅうに入ると

葭萌かぼうから)還って劉璋りゅうしょうを攻め

張飛は諸葛亮らと流れを遡り

手分けして郡県を平定した。


(張飛は)江州に至り、劉璋の将である

郡太守の厳顔げんがんを破り、彼を生け捕りにした。


張飛は厳顔を怒鳴り立てて言った。


「大軍が至ったというのに

なぜ降伏せず敢えて抗戦したのだ?」


厳顔は答えて言った。


「あなた方は無礼にも

我が州を侵略して奪い取った。

我が国には首を刎ねられる将がおるのみで

降伏する将などいはしないのだ」


張飛は怒り、左右の者に命じて

引きずって行かせ、首を斬ろうとしたが

厳顔は顔色を変えず


「首を斬るならさっさと斬れ!

何ゆえ怒ることがあろうか!」


と言った。


張飛は壮であるとして彼を釈放し、

賓客として招き入れた。


張飛は通過した場所において

すべて勝利を収め、成都せいとで先主と合流した。


(劉備は)益州を平定し終えると、

諸葛亮、法正ほうせい、張飛及び関羽に

それぞれ金五百斤、銀千斤、

銭五千万、綿千匹を賜った。

その他の者の恩賞にはそれぞれ差があり、

張飛は巴西はせい太守に任じられた。


(註釈)

211年、

劉備は当初、漢中の張魯ちょうろに対抗するため

漢中と成都せいとの中間に位置する

葭萌かぼうに駐屯していましたが、

劉璋との仲が決裂すると南下し

成都へ向かって侵攻しました。


(葭萌には霍峻かくしゅんが残り

たった数百の兵を指揮して

一年以上に渡って葭萌を死守しています)


劉備は黄忠、龐統ほうとう、魏延らとともに

涪城ふじょう緜竹関めんちくかん等の拠点を落とし

劉璋軍の有力武将を引き抜きながら

戦局を優位に進めていきましたが、

雒城らくじょうで躓き、この城を落とすのに

一年以上を要してしまいます。


また、この雒城の戦で、

龐統が流れ矢に当たって

戦死してしまっています。


三国志演義では

落鳳坡らくほうは」という地名が登場し

鳳雛ほうすうの道号で呼ばれていた

龐統の落命が仄めかされています。


光武帝の配下で、蜀を攻めた岑彭しんほう

彭亡ほうぼう」という地で

敵の刺客に斃れたことの

オマージュだと思われます。


いずれにしても、益州には

不吉な地名多いな!っていう話です。



苦境に立たされた劉備は

諸葛亮、張飛らを荊州から呼び寄せます。


彼らは水路から益州に入って

東側から諸郡を攻略していきました。


張飛は巴郡太守の厳顔を捕らえ

はじめは感情に任せて斬ろうとしたものの

次第にその立派な態度に感じ入って

彼を迎え入れ、厚遇しています。


やはり彼は、粗暴なだけの

猪武者ではありません。


張飛は行く先々で全て勝利を収め

劉璋の依る成都で劉備と合流します。


成都にはまだ十分な備えがありましたが

折しも武名の知れ渡る馬超が

劉備軍に降ってきたため

劉璋は遂に観念して劉備に降伏しました。


かくて劉備は益州を手に入れ

張飛らに莫大な恩賞を賜りました。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ