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淡々三国志  作者: ンバ
魏書第十、荀彧伝
280/603

註二・三、荀彧の嫁取り??

註2.

典略曰:中常侍唐衡欲以女妻汝南傅公明,公明不娶,轉以與彧。父緄慕衡勢,爲彧娶之。彧爲論者所譏。


(訳)

典略てんりゃくにいう、

唐衡とうこうは、娘を汝南じょなん傅公明ふこうめい

妻合わせようとしたが、公明は取り合わず、

転じて荀彧じゅんいくに娶せようとした。


父の荀緄(じゅんこん)は唐衡の権勢を慕って

荀彧に彼女を娶らせた。


荀彧は論者から

誹譏ひき(誹謗)を受けることになった。



(註釈)

唐衡とうこうは潁川の人、荀家とは同郡人です。

中常侍は当時権威を縦にしていた宦官です。

「宦官の娘」って、色々勘繰っちゃうなぁ。



濁流派の悪徳宦官と懇ろにしていたら

清流派の人々からは叩かれるでしょう。


しかし、年代が合っていません。


註3.

臣松之案:漢紀云唐衡以桓帝延熹七年死,計彧于時年始二歲,則彧婚之日,衡之沒久矣。慕勢之言爲不然也。臣松之又以爲緄八龍之一,必非苟得者也,將有逼而然,何云慕勢哉?昔鄭忽以違齊致譏,雋生以拒霍見美,致譏在於失援,見美嘉其慮遠,並無交至之害,故得各全其志耳。至於閹豎用事,四海屏氣;左悺、唐衡殺生在口。故于時諺云「左迴天,唐獨坐」,言威權莫二也。順之則六親以安,忤違則大禍立至;斯誠以存易亡,蒙恥期全之日。昔蔣詡姻于王氏,無損清高之操,緄之此婚,庸何傷乎!


(訳)


わたくし松之は考える。


漢紀かんき」では、唐衡とうこう

桓帝かんてい延熹えんき七年(164)に死んだと云っており、

荀彧は当時二歳になったばかりの計算で、

即ち、荀彧の結婚は

唐衡が没してよりだいぶ後の事となる。


「権勢を慕って」

(荀彧に唐衡の娘を娶せた)

という言葉は間違っている。


わたくし松之には、一方で

八龍の一角とされた荀緄(じゅんこん)

苟且かりそめにも(宦官の娘を息子の嫁に貰って)

利を得ようとしたとは到底思えない。


逼迫ひっぱくされてそうしたのだとしても

どうして「権勢を慕って……」などと云うのか。


昔、鄭忽ていこつ(鄭国の太子の忽)は

斉からの婚姻の申し出を断って誹譏を受け、

雋生しゅんせい(前漢の雋不疑しゅんふぎ)は、霍光かくこうからの

娘を娶せたい、という申し出を拒んで

立派であると見なされた。


鄭忽がそしられたのは後援者を失ったためで、

雋生が称美されたのは

その遠謀を考慮されてのことであり、

どちらも交友関係における弊害はなく、

故に各々その意思を全うできたのだ。


閹豎(宦官の蔑称)が権力を握る時代に至ると

四海は息を詰まらせ、左悺(さかん)・唐衡の口先に

(人々の)殺生が委ねられていた

(生かすも殺すも彼らの機嫌しだい)。


故に、当時の諺では

「左悺は天を廻らせ、唐衡はひとり坐す」

と謂れており、権威において

この二者に及ぶ者が

いなかったという事を意味している。


彼らに従順であれば

即ち六親は安泰だが、

さからい、背いたりすれば

即ち大禍が立ちどころに至った。


それこそ誠に滅亡を生存にえ、

恥辱をこうむってでも

安全を期す事が日常であったのだ。


昔、(前漢の)蔣詡しょうく

王氏(簒奪者王莽(おうもう)の縁者)と婚姻したが

清らかかつ高潔な節操を

損なうことなどなかった。


荀緄の此度の婚姻の件も

どうして(彼の名声や徳を)

傷付けるものでありえようか!!


(註釈)

荀と苟って紛らわしいな……。


裴松之は荀緄・荀彧を全面擁護。


唐衡が亡くなったのは164年、

荀彧が生まれたのが163年、


荀彧は当時まだ赤ちゃんです。

娘を嫁がせた云々はさすがにダウトかな。

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