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淡々三国志  作者: ンバ
呉書第十、甘寧伝
275/603

六・註六、合肥の戦い、凌統の怨恨

6.

寧雖麤猛好殺,然開爽有計略,輕財敬士,能厚養健兒,健兒亦樂爲用命。建安二十年,從攻合肥,會疫疾,軍旅皆已引出,唯車下虎士千餘人,并呂蒙、蔣欽、凌統及寧,從權逍遙津北。張遼覘望知之,即將步騎奄至。寧引弓射敵,與統等死戰。寧厲聲問鼓吹何以不作,壯氣毅然,權尤嘉之。


(訳)

甘寧は麤猛(粗疏・勇猛)で

好く人を殺したが、

開けっぴろげで爽やか、

(先を見通す)計略を有していた。


財を軽んじて士を敬い

健児を手厚く養ったため

健児もまた、甘寧の命を

用いることを楽しんだ。

(喜んで甘寧の命令に従った)


建安二十年(215)、

合肥ごうひ攻めに従軍した。


疫病に遭ったために

軍旅は皆、已に引き上げていたが

ただ、車賀の下の虎士千人余りと

呂蒙りょもう蒋欽しょうきん凌統りょうとう及び、甘寧だけが

孫権に従って逍遙津しょうようしんの北にあった。


張遼は覘望てんぼう(遠望)して

孫権が寡勢であることを知り、

即座に歩兵・騎兵を率いて

奇襲を仕掛けてきた。


甘寧は弓を引いて敵を射ち、

凌統らとともに死力を尽くして戦った。


甘寧ははげしい声色で

(意気消沈している)鼓吹に

「どうして演奏をせぬのだ」と問い

意気壮健で毅然としており

孫権は甚だこれを嘉した。



(註釈)


赤壁せきへきの戦い、208年

南郡攻防戦、209〜210年

第一次濡須口(じゅしゅこう)の戦い、212〜213年

第二次濡須口の戦い、214〜215年

合肥ごうひの戦い、215年


曹操が馬超を相手取っていた

211年以外は、ほとんど

孫権と戦っております。



合肥は「ガッピ」と読んでも

「ゴウヒ」でもどちらでもOKみたいです。



合肥の戦いは、

張遼が数の不利を覆す大奮闘で

孫権もあと一歩のところまで

追い詰められる惨憺たる戦況でした。


折しも疫病により

軍を全撤退させるを得なくなった孫権は

僅かな手勢しか連れていないところを

張遼に急襲されますが、

甘寧や凌統らの活躍で、どうにか

難を逃れることができたようです。



魏側の守将の張遼や楽進がくしん

孫権の顔・姿を知らなかったらしく、


捕虜から孫権の容姿を聞いて、

はじめて張遼は、自分が追い縋った

長身・短足・赤ひげの男が

孫権であったことを知ったそうな。


曹操も、孫権の情報くらい

方面司令官に教えといてやれよ……

というか、曹操も知らなかったのかも。


註6.

吳書曰:凌統怨寧殺其父操,寧常備統,不與相見。權亦命統不得讎之。甞於呂蒙舍會,酒酣,統乃以刀舞。寧起曰:「寧能雙戟舞。」蒙曰:「寧雖能,未若蒙之巧也。」因操刀持楯,以身分之。後權知統意,因令寧將兵,遂徙屯於半州。


(訳)

呉書にいう、凌統りょうとうは甘寧が

父の凌操りょうそうを殺めた事を怨んでおり、

甘寧は常に凌統に対して備えを設け、

相見えることはなかった。


孫権もまた、凌統に

甘寧に復讐せぬように命じていた。


嘗て呂蒙の舎屋しゃおくにて会同し、

酒宴もたけなわとなった際、

凌統は刀を持って舞い始めた。


甘寧は起ち上がって言った。


わたし双戟そうげきを用いて舞えますよ」


呂蒙が言った。


「甘寧(の舞)がいかに上手といえど

わたしほど巧みにはできまい」


かくて呂蒙は刀を操って楯を持ち、

躬ら甘寧と凌統の間に割って入った。


のちに孫権は凌統の意図を知り、

かくて甘寧に兵を率い、

半州へと移駐するように命じた。




(註釈)


宴会+剣舞


范増はんぞう劉邦りゅうほうを始末しようとした、

鴻門の会のようなシーンですね。



凌統

「酒の肴に某が剣舞を披露しましょう!」


甘寧

「おお、なら一緒にやるか? 俺は双戟を持って舞うのが得意なんだ」


凌統

「いいですね、やりましょう」

(これは……! 父の仇を討つ絶好の機会だな)


呂蒙

(いかん! 凌統の奴、甘寧を殺す気だ!)


呂蒙

「待て! 私も参加させてもらおうか。いかに甘寧の舞が上手といっても、私ほど巧みにはできまい」


凌統

(ちっ……!)



………………………



甘寧

「いやー、楽しかったっすね。あんなに騒いだのは久しぶりっすよ」


呂蒙

「甘寧よ、危うく項荘に斬られる所であったな」


甘寧

「は?」



三国志演義ではちゃんと

甘寧と凌統が和解する場面がありますが

正史では終始険悪なままと考えて良さそう。

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