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淡々三国志  作者: ンバ
呉書第十、甘寧伝
273/603

四・五、皖城・濡須口の戦い

4.

後從攻皖,爲升城督。寧手持練,身緣城,爲吏士先,卒破獲朱光。計功,呂蒙爲最。寧次之,拜折衝將軍。


(訳)

その後、皖城かんじょう攻めに従軍し

升城督(攻城隊長)となった。


甘寧はねりぎぬを手に持つと

みずから城をよじ登り、吏人・士卒に先んじて

ついに城を破り、朱光を獲えた。


功績を計り(論功行賞では)

呂蒙りょもうが一番となった。


甘寧(の手柄)は呂蒙に次ぐものとされ

折衝せっしょう将軍に拝された。



(註釈)

ついに例のセリフを言う時が来ました。

もう、これを言いたいがために

甘寧伝を訳してると言っても

過言ではない、あのセリフです。


さぁ皆さんご一緒に!


「甘寧、一番乗り!!!!!!!」


「甘寧は20年余りヤクザ」だったとすると

すでに60過ぎててもおかしくありませんが

城攻めの最前線に送り込まれるとは。


呂蒙はこの時37歳、

脂の乗ってる年齢です。


5.

後曹公出濡須,寧爲前部督,受勑出斫敵前營。權特賜米酒衆殽,寧乃料賜手下百餘人食。食畢,寧先以銀盌酌酒,自飲兩盌,乃酌與其都督。都督伏,不肯時持。寧引白削置膝上,呵謂之曰:「卿見知於至尊,孰與甘寧?甘寧尚不惜死,卿何以獨惜死乎?」都督見寧色厲,即起拜待酒次,通酌兵各一銀盌。至二更時,銜枚出斫敵。敵驚動,遂退。寧益貴重,增兵二千人。


(訳)

後に曹公が濡須じゅしゅへ出撃してくると

甘寧は前部督となり、敵の前衛へ出向き

るように(カチコミ)勅命を受けた。


孫権が軍の者たちにさかなとして

特別に米や酒を下賜すると、

甘寧はそれを料理し、

手下の百人余りに食事として賜った。


食事をえると、

甘寧は先ず銀盌ぎんわんに酒をんで

自ら盌を両度(二度)飲み、

かくて、彼の都督に酌して与えた。


都督は伏してしまい、

即座に受け取る事をがえんんじなかった。


甘寧は白刃を抜いて膝の上に置き、

都督を呵叱かしつして述べた。


きみ甘寧わたしとでは、いずれが

至尊(孫権)から知遇を受けているのだ?


甘寧は尚、死を惜しまぬというのに

卿だけがどうして死を惜しむというのか!」


都督は甘寧の顔色がはげしい(険しい)

ことを見て取ると、即座に起き上がって

拝礼して酒盃を受け取り、

兵士それぞれの銀盌に

一杯ずつ酌をして回った。


二更(午後9〜10時)の時刻に至ると

ばいふくんで、敵を斫らんと出撃した。


(※馬や兵士に銜えさせ、息遣いの気配を消すために用いた木片)


敵は驚動し、かくて退却していった。


(この一戦により)

甘寧はますます重んじられるようになり

兵士が二千人に増員された。




(註釈)


孫権も「敵の前衛を襲撃してこい!」って、

なんともキツイ注文を……。


甘寧いっつも前線に派遣されてて

かわいそうになってきます。



《《軽侠》》と称される甘寧もさすがに

今度ばかりは助からないと思ったのか

部下たちに末期まつごの酒を

振舞っているようにも見えます。


かくて組織された100名の決死隊は

気配を消して曹操陣営に夜襲を掛け、

見事、撤退させることに成功しました。


人間、死ぬ気になればなんでもできるッ!


孫権は、

張昭キライ、

虞翻を酒の席で殺そうとし

甘寧の待遇がブラックなど

年長者への敬意が足りてない気がします。

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