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淡々三国志  作者: ンバ
呉書第十、甘寧伝
270/603

二、甘寧版天下二分計

2.

於是歸吳。周瑜、呂蒙皆共薦達,孫權加異,同於舊臣。寧陳計曰:「今漢祚日微,曹操彌憍,終爲篡盜。南荊之地。山陵形便,江川流通,誠是國之西勢也。寧已觀劉表,慮旣不遠,兒子又劣,非能承業傳基者也。至尊當早規之,不可後操圖之。圖之之計,宜先取黃祖。祖今年老,昏耄已甚,財穀並乏,左右欺弄,務於貨利,侵求吏士,吏士心怨,舟船戰具頓廢不脩,怠於耕農,軍無法伍。至尊今往,其破可必。一破祖軍,鼓行而西,西據楚關,大勢彌廣,即可漸規巴蜀。」權深納之。張昭時在坐,難曰:「吳下業業,若軍果行,恐必致亂。」寧謂昭曰:「國家以蕭何之任付君,君居守而憂亂,奚以希慕古人乎?」權舉酒屬寧曰:「興霸,今年行討,如此酒矣,決以付卿。卿但當勉建方略,令必克祖,則卿之功,何嫌張長史之言乎。」權遂西,果禽祖,盡獲其士衆。遂授寧兵,屯當口。


(訳)

こうして甘寧は呉に帰順した。


周瑜、呂蒙りょもうはともに

甘寧を栄達させるように推薦し、

孫権は彼に特別な待遇を加えて

旧臣と同様に扱った。


甘寧は計策を陳べた。


「今、漢の国祚は日に日に衰微し、

曹操はいよいよ驕慢となって

終には簒奪を為さんとしております。


荊州の南の地は

山陵の形状が便宜に適い、

河川の流れが通じておりまして、

これは誠に、国家にとって

西(を攻めるに適した地)勢です。


寧は已に劉表と見えましたが、

彼は思慮を遠くに及ぼさず、

その子供もまた(輪をかけて)愚劣で

事業を継承し、国家の基盤を

(後代へ)伝えていける者ではございません。


至尊(孫権)は荊州を早くに謀るべきで

曹操に遅れを取ることの

なきようにしてくだされませ。


荊州の攻略を図る計画としては、

先に黄祖(の江夏郡)を攻め取るべきです。


黄祖は今や年老いて

耄碌することは已に甚だしく、

資財・穀物ともに乏しく、

左右の者は詐欺を欲しいままに働き

貨殖(金儲け)に務めて

吏士を侵害して(金銭を)求めており、

吏士は心に怨恨を抱き、

船や戦具は廃棄されたままで

修理される事なく、

農耕に於いても怠慢で、

軍には法律も隊伍も無いのです。


至尊が今往かば、

撃破できる事は確実です。


ひとたび黄祖の軍を破ったなら

太鼓を打ち鳴らして西進し、

西の楚関を拠点として

大勢はいよいよ広がり、即ち、

漸次に巴蜀を謀る事が可能となります」


孫権は深くこの案を容れた。


張昭もこの時坐に有ったのであるが

甘寧を非難して言った。


「呉下は業業(国内は仕事が山積み)であり

もし行軍などしようものなら

必ずや内乱が起こるであろう事を

(それがしは)恐れております」


甘寧は張昭に対して言った。


「国家が蕭何しょうかの任を

あなたに付託しておりますのに、

君は、留守に居しながら

乱の起こる事を憂えているとは。


(そんなザマで)

どうして古人を仰慕ぎょうぼできますか?」


孫権は酒を挙げると

甘寧(の盃)に注いで言った。


興覇こうは、今年の

(黄祖)討伐のための行軍は

この酒のように

きみに付託する事に決めたぞ。


卿はただ、必ずや黄祖に打ち勝つための

方略を建てる事に勉めてくれればよい。

則ち、それが卿の功勲となる。


どうして張長吏(張昭)の言葉を

気にかける事があろう」


孫権はかくて西へ向かい、

果たせるかな黄祖を擒として

その士衆の盡くを捕獲した。


かくて甘寧は兵を授かり、

当口に駐屯した。



(註釈)

甘寧版、天下二分の計です。


甘寧が入ってきたとたんに

孫堅も孫策も降せなかった黄祖を

あっさりとやっつけた孫権。


それにしても、黄祖は酷い言われようです。

やはり内部事情を知ってる奴が

いるといないとでは大違い?

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