表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
淡々三国志  作者: ンバ
呉書第十、甘寧伝
267/603

一、鈴のチンピラ甘寧

1.

甘寧字興霸,巴郡臨江人也。少有氣力,好游俠,招合輕薄少年,爲之渠帥;羣聚相隨,挾持弓弩,負毦帶鈴,民聞鈴聲,即知是寧。人與相逢,及屬城長吏,接待隆厚者乃與交歡;不爾,即放所將奪其資貨,於長吏界中有所賊害,作其發負,至二十餘年。止不攻劫,頗讀諸子,乃往依劉表,因居南陽,不見進用,後轉託黃祖,祖又以凡人畜之。


(訳)

甘寧かんねいは字を興覇こうはといい、

巴郡の臨江りんこうの人である。


少くして気力を有し、遊侠を好み、

軽薄な若者(無頼漢)を招き集めて

その渠帥きょすい(頭目・悪の親玉)となった。



群れ集まって相隨い、弓弩を挾持し、

けかざりを背負い、鈴を帯び、

民衆は鈴の音が聞こえてくると

すぐに甘寧(団)のものだと分かったという。


人と逢う時には

所属する城の長吏であろうと

接待が厚かった者は交歓したが、

そうでない者には、即座に部将を放って

財貨を奪わせていた。


(甘寧の所属する)長吏の管轄内で

盗賊が害を為す所があれば、

その摘発を請け負うことが

二十年余りに至った。


止まって暴力行為・略奪等をやめ

頗る諸子(荀子・孫子・老子等)を

読むようになり、かくて

(荊州の)劉表に身を寄せるようになり

南陽に居したが、

用いられて昇進する事はなかった。


その後、転じて黄祖に身を寄せるも、

黄祖もまた、凡人として甘寧を養った。



(註釈)


巴郡の甘寧。

鳴り物でご近所を悩ます様は

さながら1800年前の珍走団です。


寧=やすらかという名前なのに

字が「興」「覇」と威勢が良いのは

つまり、そういう事です。

カッコイイ字面優先で選んでやがる!!


チーム名、

血塗皇帝ブラッディエンペラーとか

堕悪天使ダークエンジェルとか付けちゃうタイプ。


そんな甘寧軍団、

役所にズカズカ乗り込んできて、

ショバ代を払わない役人には

襲いかかってくるとか、怖すぎる。


ショバ代を貰ってるからには

賊が現れたらちゃんと鎮圧に行きますが

「おまえも賊じゃねーか」と

ツッコミたくなります。

暴走族同士の抗争です。



そんなこんなで、巴郡で20年ほど

ヤクザまがいの事をしていた甘寧ですが

「このままではいけない」と思ったのか

急に本を読みだすようになりました。


20年はさすがに長すぎでは……??

と思うところもあるので、

2年、または10年の間違いかもしれません。


が、一応、甘寧が20年余り

ヤクザをやってた前提で話を進めます。


「止不攻劫」とありますが

攻劫には攻撃・略奪のほか

強姦という意味合いもあるらしく、

甘寧のイメージがどんどん悪くなります。

大体の犯罪は極め尽くしてるッ。



やがて荊州の劉表に出仕しましたが

ぜんぜん仕事を貰えず、

江夏太守の黄祖のもとへ行くも

やっぱり大したポストに就けないのでした。



賊あがりなのは問題なかったとしても

「20年余り」も継続してたというのが

常軌を逸脱しすぎてたんでしょうか。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ