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淡々三国志  作者: ンバ
呉書第九、魯粛伝
257/603

註三・四、孫権に斬られそうになる魯粛と孫盛のコメント

註3.

魏書及九州春秋曰:曹公徵荊州,孫權大懼,魯肅實欲勸權拒曹公,乃激說權曰:「彼曹公者,實嚴敵也,新並袁紹,兵馬甚精,乘戰勝之威,伐喪亂之國,克可必也。不如遣兵助之,且送將軍家詣鄴;不然,將危。」權大怒,欲斬肅,肅因曰:「今事已急,即有他圖,何不遣兵助劉備,而欲斬我乎?」權然之,乃遣周瑜助備。


(訳)

「魏書」及び「九州春秋」にいう、

曹公が荊州を討伐すると

孫権は大いにおそれ、

魯粛は、実際のところは孫権に

曹公を拒むよう勧めようとし、

かくて激しい論調で孫権に述べた。


「彼の曹公という者は

実に厳しい敵でございますな。


新たに袁紹えんしょうを併合し、

兵馬は甚だ精鋭であり、

戦勝の威勢に乗じて

惑乱する国(荊州)を

討伐するのでございますから

勝利は必然と申せましょう。


曹公に援軍を派遣し、

かつ、将軍のご家族を送られて

ぎょうを詣でさせるに越した事はございませぬ。


そうでもしなければ

将軍の身は危ういですぞ」


孫権は大いに怒り、魯粛を斬ろうとした。


魯粛はそこでこう述べた。


「今、事態は已に危急に陥っており、

即座に他を図るべきですのに、

どうして劉備に援軍を送らずに

我を斬ろうとなさるのでしょう?」


孫権は魯粛の言葉を尤もだと考え、

かくて周瑜を遣り、劉備を援護させた。


(註釈)

魏書は曹魏の王沈おうしん

九州春秋は西晋の司馬彪しばひょうの著作です。


ようは、敵国から見る魯粛像です。




群臣

「曹操に降伏しましょう」


孫権

「う〜ん、そうだよな〜……」



魯粛

「曹操の味方をして、

将軍のご家族を鄴へ送れば……」


孫権

「テメェ、ぶっ殺す!!」



なんで!???


言ってる内容は同じなのに

魯粛の「激論」がそんなに

イラッときたんでしょうか。



①孫権は内心降伏したい

魯粛「戦いましょう!」

孫権「ぶっ殺す!」


②孫権は内心戦いたい

魯粛「降伏しましょう!」

孫権「ぶっ殺す!」


③孫権は内心戦いたい

魯粛「戦いましょう!」

孫権「そうだよね♡」



本文は③で、

魏書と九州春秋は②なんですかね。


ですが前述のとおり

魯粛も皆と同じ意見を述べただけなのに

殺されそうになるのは不自然なので

案外①が真相なんじゃないでしょうか。


註4.

孫盛曰:吳書及江表傳,魯肅一見孫權便說拒曹公而論帝王之略,劉表之死也,又請使觀變,無緣方復激說勸迎曹公也。又是時勸迎者眾,而云獨欲斬肅,非其論也。


(訳)

孫盛はいう、

「呉書」及び「江表伝」では

魯粛はひとたび孫権に見えると

すぐに曹公を拒むように説き、

帝王の戦略を論じたのである。


劉表が死んだ際にもまた

事態の変化を観望するよう要請しており、

意見を翻して、激しい論調で

曹公を迎え入れるように勧めたなど

根拠がない(妄説である)。


またこの時、

(曹操を)迎え入れるように

勧めた者は大勢いたのに

魯粛だけを斬ろうとしている点も

論ずるに値しない。




(註釈)


(曹操を)迎え入れるように

勧めた者は大勢いたのに

魯粛だけを斬ろうとしている点も

論ずるに値しない。


ここに狂おしいほど同意。



孫盛は東晋に仕えた歴史家、兼軍人です。


裴松之は孫盛のコメントや著作から

引用することが多いので、

その記述の信頼性が窺えます。

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