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淡々三国志  作者: ンバ
呉書第九、魯粛伝
250/603

註一、魯家の狂児

註1.

吳書曰:肅體貌魁奇,少有壯節,好為奇計。天下將亂,乃學擊劍騎射,招聚少年,給其衣食,往來南山中射獵,陰相部勒,講武習兵。父老咸曰:「魯氏世衰,乃生此狂兒!」後雄傑並起,中州擾亂,肅乃命其屬曰:「中國失綱,寇賊橫暴,淮、泗間非遺種之地,吾聞江東沃野萬里,民富兵強,可以避害,寧肯相隨俱至樂土,以觀時變乎?」其屬皆從命。乃使細弱在前,強壯在後,男女三百餘人行。州追騎至,肅等徐行,勒兵持滿,謂之曰:「卿等丈夫,當解大數。今日天下兵亂,有功弗賞,不追無罰,何為相偪乎?」又自植盾,引弓射之,矢皆洞貫。騎既嘉肅言,且度不能制,乃相率還。肅渡江往見策,策亦雅奇之。



(訳)

魯粛の容貌は魁奇で、

少くして立派な節義を有し

奇計を為すことを好んだ。


天下がまさに乱れんとすると

そこで魯粛は撃剣げきけんと騎射を学び、

少年を招集して衣食を支給し、

南部の山中を往来して狩猟し、

密かに部曲(私兵)を整備して

武芸を鍛え、兵に習練をさせた。


父老は皆、言った。


「魯氏の家は代々廃れていったが

とうとうこんな狂児が生まれたか!」


後に英雄・豪傑が並び立ち

中原に騒乱が巻き起こると、

魯粛はそこで眷属に命じて言った。


「中国の綱紀は失われ、

寇賊が欲しいままに暴虐を働いて

淮水わいすい泗水しすいの間は

遺種(子孫を遺す)の地でなくなった。


吾は江東の沃野よくやが万里に及び、

民は富み、兵は強いと聞いた。

(彼の地に拠らば)

害悪を避けられよう。


(中原に殴り込むよりは)

寧ろ、互いにしたがいて

ともに楽土(江東)へと向かい、

事態の変化を観察しようぞ」


魯粛の眷属はみな、命に従った。


かくて、

細弱(老人や子女)を前に、

壮強(若くて健康な者)を後ろに置き

男女三百人余りで行進した。


州の放った追っ手の騎兵が至ると

魯粛らは徐行し、兵を整えて、

満を持して追っ手へと述べた。


「卿らは丈夫だ、当然、

大数(天命の移り変わり)は解るだろう。


今日の天下の兵乱には

功勲有れども褒賞は無く、

(我々を)追わなかったとて

罰されることも無い。何故互いに

追い詰め合わなくてはならんのだ?」


また、自ら盾を立てて

弓を引いてこれを射ったところ、

放った矢は全て洞貫(盾を貫通)した。


騎兵は魯粛の言をよみし、

かつ、制する事は出来ないと判断して

かくて引き上げていった。


魯粛は長江を渡って孫策に接見し、

孫策もまた、甚だ彼が非凡であると考えた。




(註釈)


魯粛が修行して身につけた「撃剣げきけん」。

投げナイフ的な技術だと思われます。

徐庶じょしょも得意としているヤツです。


騎射は馬に乗ったままの状態で

弓を射るテクニックです。


ここの描写だけ見ると、

魯粛は戦闘能力が意外と高い?


来るべき乱世に備え

若者を集めて衣食を融通し、

山にこもって、来る日も来る日も

武芸の鍛錬に励んでいた魯粛たち。


年配者の皆様からは

「魯さんとこの息子さん、

頭おかしいんじゃないのか」

と思われてしまっています。


魯粛はぱっと見クレイジーですが、

蓋を開けてみると

やっぱりクレイジーなのです。


そして、

190年代に入って中原が荒れると、

魯粛は江南の地に目をつけます。


高祖劉邦(りゅうほう)の時代、

光武帝劉秀(りゅうしゅう)の時代、

揚州に割拠していた群雄は

考えてみるといませんでした。


文化・経済の発展についてはまだまだ

中原とは比べるべくもありませんが

長江の天険があるために

避難するには格好の地勢だったのです。



「州の追っ手」とありますが

なに州でしょう?


徐州なら曹操か呂布、

揚州なら袁術っぽいです。


「働いたところで給料出ねーぞ!」

という魯粛のセリフから察するに

呂布か袁術くさいですね。



この「呉書」では、魯粛が

孫策に会っていたとされますが

本文だと、魯粛がやって来るのは

孫策が死んだ(200年)後になってます。


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