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淡々三国志  作者: ンバ
呉書第九、魯粛伝
249/603

一、周瑜に賭ける

1.

魯肅字子敬,臨淮東城人也。生而失父,與祖母居。家富於財,性好施與,爾時天下已亂,肅不治家事,大散財貨,摽賣田地,以賑窮弊結士為務,甚得鄉邑歡心。周瑜為居巢長,將數百人故過候肅,並求資糧。肅家有兩囷米,各三千斛。肅乃指一囷與周瑜,瑜益知其奇也。遂相親結,定僑、札之分。袁術聞其名,就署東城長。肅見術無綱紀,不足與立事,乃攜老弱將輕俠少年百餘人,南到居巢就瑜。瑜之東渡,因與同行,留家曲阿。會祖母亡,還葬東城。


(訳)

魯粛ろしゅくは字を子敬しけいといい、

臨淮りんわい東城(とうじょう)県の人である。


生まれてすぐに父を失い、

祖母とともに居した。


家は裕福、施しを好む性格で

当時、天下がすでに乱れていたが

魯粛は家業を顧みずに

大いに財貨をばらまき

田地を売り払って、

窮弊きゅうへい(生活に苦しむ人々)へと施し

士と結ぶことを務めとしたため、

甚だ郷里の邑で歓心を得ていた。


周瑜は居巣きょそうの長となると

数百人を率いて、道すがら

わざわざ魯粛のもとへうかがい、

同時に物資や糧秣を要求した。


魯粛の家には二つの米倉が有り、

それぞれ三千斛(60トン分)だった。


そこで魯粛は

片方の米倉を指して周瑜に与え、

周瑜はますます魯粛が

並の人物ではない事を悟った。


かくて互いに親交を結び、

公孫僑こうそんきょう季札きさつの分を定めた。


袁術えんじゅつは魯粛の名声を聞くと、

彼を署して東城の長に就任させた。


魯粛は、袁術(の国家)に

綱紀こうき無き有様を見て、ともに

事業を興すには不足であると判断し、

そこで、老弱の者や

軽装の少年数百人を携えて

南へと赴き、居巣の周瑜に就いた。


周瑜が東へ渡ると

それに因って魯粛も同行し、

家族は曲阿きょくあに留めた。


ちょうど魯粛の祖母が亡くなり、

帰還して東城に葬った。


(註釈)

魯粛は徐州の南の外れの方の出身です。


172年生まれ。

曹仁そうじんの4つ下、

郭嘉かくかの2つ下、

王淩おうりょうとタメ、

周瑜と孫策の3つ上、

孫権と比較すると10コ上です。


早くに父を亡くした魯粛は

おばあちゃんと暮らしていました。

母親はどうしたんだろう?


それでも家は裕福だったようで、

後漢末期の混乱のなか

潤沢な財貨を、惜しみなく

「これは」と思った人物に分け与え、

要は青田買いをしていた事が窺えます。


奇貨居くべし、若き始皇帝に

積極的に投資した呂不韋りょふいに近い印象です。


魯粛のホームの東城とうじょう

徐州のかなり外れのあたり。

周瑜が赴任した(袁術を避けた)

居巣に近いところにあります。


魯粛の評判を聞き、周瑜しゅうゆ袁術えんじゅつ

ヘッドハンティングに来ますが、

魯粛は周瑜に投資する方を選びました。


時期的に、198年というと

袁術陣営は呂布に大敗して

陰りが見えている頃なので

周瑜との二者択一を迫られてわざわざ

袁術に着いてこうという人間は

よほどの物好き以外、いなさそうです。


魯粛の事をヤバイなと思うのは

持ってるゴハンの半分を

躊躇いなく周瑜にBETした点です。

袁術が消えるのは自明だったとしても

周瑜がこの先、生き残れるかは別の話で

普通こんな大胆な博打に出れないです。


袁術はちゃっかり

周瑜と魯粛にアプローチかけてるあたり

人物を見る目は意外と確かですね。


魯粛のあざなは「子敬しけい」、

劉備の叔父さんと

孟達もうたつも「子敬」というあざなです。


孟達は劉備の宗族と

あざなが被っていたため

「子度」に改めたとかなんとか。


魯粛も、劉備に仕えていたら

「子恪」とか「子慎」に

改名させられていたかも、という話でした。

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