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淡々三国志  作者: ンバ
呉書第一、孫討逆(孫策)伝
216/603

註十八、于吉

註18.

江表傳曰:時有道士琅邪于吉,先寓居東方,往來吳會,立精舍,燒香讀道書,制作符水以治病,吳會人多事之。策嘗於郡城門樓上集會諸將賔客,吉乃盛服杖小函,漆畫之,名為仙人鏵,趨度門下。諸將賔客三分之二下樓迎拜之,掌賔者禁呵不能止。策即令收之。諸事之者,悉使婦女入見策母,請救之。母謂策曰:「于先生亦助軍作福,醫護將士,不可殺之。」策曰:「此子妖妄,能幻惑衆心,遠使諸將不復相顧君臣之禮,盡委策下樓拜之,不可不除也。」諸將復連名通白事陳乞之,策曰:「昔南陽張津為交州刺史,舍前聖典訓,廢漢家法律,甞著絳帕頭,鼓琴燒香,讀邪俗道書,云以助化,卒為南夷所殺。此甚無益,諸君但未悟耳。今此子已在鬼籙,勿復費紙筆也。」即催斬之,縣首於巿。諸事之者,尚不謂之死而云尸解焉,復祭祀求福。



(訳)

当時、瑯琊ろうや于吉うきつという道士がおり、

先祖以来東方に寓居ぐうきょ

呉会地方を行き来して精舎しょうじゃを建立し

香を焚いて道書を読み

符水ふすい(お札の煤を溶かした水)を制作して

病気を治し、呉会の人の多くは彼に事えた。


孫策がかつて郡の城門の楼の上に

諸将や賓客を集めて宴会を開いた際、

于吉は立派な服を着て、うるしで描かれた

仙人鏵せんにんか」という名の小函こばこを携えて

その門下を走り抜けた。


諸将・賓客の三分の二は楼を下りて

拝礼して于吉を迎え入れ、

賓客を掌握する者(幹事)が

声をあげて制しても、止められなかった。


孫策はすぐに命じて于吉を捕えさせた。


于吉に事える諸々の者達は

悉く婦女を遣って孫策の母に見えさせ

于吉の助命を請わせた。


母は孫策に謂った。


「于先生は亦た軍を助けて福を為し、

医療にて将士を護ってくれます。

彼を殺すべきではありません」


孫策は言った。


「こやつは妖妄で、

能く人々の心を幻惑するのです。


遠くより諸将に

再び君臣の礼を顧みさせず、

(諸将は)悉く私を捨てて楼を下り

やつに拝礼したのです。


排除せぬわけにはいきません」


諸将もまた連名にて陳情し

于吉の助命を乞うた。


孫策は言った。


「昔、南陽の張津ちょうしんが交州刺史だった頃

以前までの聖賢な決まりを捨てて

漢の法律も廃止した上に

いつも絳帕頭(赤い頭巾)をかぶって

琴を鳴らして香を焚いて

邪道で俗な道書なんざ読んでやがってさ。


教化の助けなんて言ってたが

結局は、南越に殺されちまったよ。


こんなもんは甚だ無益で、

お前らにはそれが分かってないだけだ。


こいつはもう鬼録(閻魔帳)に

名前が載ってるんだよ、

もう(上書して)紙や筆を

無駄にするんじゃねぇぞ」


孫策は(役人を)催促して于吉を斬らせ、

その首を市に懸けてしまった。


于吉に事えていた者たちは

それでもなお彼が死んだとは謂わず、

尸解しかい(霊魂が抜けて仙人になった)

したのだと云い、

ふたたび彼を祀って福を求めた。



(註釈)

お札を焼いて溶かした水を飲むと

病気が治る?

うさんくせぇえええ


オカルティックな道教の世界、

孫策はまっっっったく信じていない様子です。


孫策のあざなが「おふだ」なのが

またアンバランスというかw



註釈の孫策は、高岱や于吉など、

人々の信望を得ている人物を

危険視する傾向にありますね。


自尊心が強いんでしょうか。

ここは「身を低くして恥を忍び……」

と称された弟・孫権と対照的です。

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