註七、孫権、変化を観る
続きまして
関羽と孫権の連合について
「典略」の記述です
註7.
典略曰:羽圍樊,權遣使求助之,敕使莫速進,又遣主簿先致命於羽。羽忿其淹遲,又自已得於禁等,乃罵曰:「鰂子敢爾,如使樊城拔,吾不能滅汝邪!」權聞之,知其輕己,偽手書以謝羽,許以自往。
(訳)
典略にいう。
関羽が樊城を囲むと、
孫権に使いを遣って救援を求めた。
孫権は使者に早く進むなと命じ
また、先に主簿を遣って
関羽に(別の)命を届けさせた。
関羽は援軍が遅れたことに怒り
また、すでに自前の兵力で
于禁を虜にしていたことから
孫権を罵って言った。
「裏切り者めが、よくも
そんなことができたものだな。
樊城を落としたなら
俺は汝を滅ぼさずにはおかぬぞ!!」
孫権はこれを聞いて
関羽が自身を侮っていると知り
(自分の気持ちを)偽って
自筆の手紙を送って関羽に謝し
自ら援軍に駆け付けると約束した。
(註釈)
前半がいまいち適切に訳せませんでした。
関羽から孫権に「援軍よこせ」って言ったのか、
孫権から関羽に「救援するぜ」って言ったのか、
どっちの意味にも取れるんですけど
関羽が孫権が遅れたことにキレてるので
前者の方で訳しました。
初めから当てにしてなかったら
怒らないですからね。
関羽が孫権に「援軍よこせ」と要求して
孫権はとりあえず様子見で
使者をゆっくり行かせて
また別に御用伺いの使者を立てた……
こんな感じでいいのかな??
関羽が孫権を罵倒した時の
「鰂子」
↑
この二字をどう訳すかかなり考えました。
鰂はイカなんですけど、
「イカの子め!」だとおかしいし……
ちくま訳だと〝狢〟です
「姑息なヤツ」ってニュアンスですね。
鰂は賊と音が近いらしいので
賊子=反逆者として訳しました。