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淡々三国志  作者: ンバ
呉書第一、孫破虜(孫堅)伝
165/603

註十一・十二、南陽太守張咨

註11.

英雄記曰:咨字子議,潁川人,亦知名。

獻帝春秋曰:袁術表堅假中郎將。堅到南陽,移檄太守請軍糧。咨以問綱紀,綱紀曰:「堅鄰郡二千石,不應調發。」咨遂不與。


(訳)

英雄記にいう、

張咨ちょうしは字を子議しぎといい、

潁川の人で、また名を知られた。


献帝春秋にいう、

袁術は上表して

孫堅を中郎将に仮した。


孫堅が南陽に到ると、

太守(張咨)に檄文を送って

軍糧を要請した。


張咨が綱紀こうき(主簿)に問うと

綱紀は言った。


「孫堅は隣の郡(長沙)にて

二千石(太守の扶持《給料》)であり、

調発に応じる必要はありません」


張咨はかくて

孫堅に兵糧を与えなかった。


(註釈)

上表の「表」と

劉表の「表」が紛らわしい。


太守の扶持ふち2000石というのは

前漢の時代から同じっぽいです。


秦の頃は「郡守」と呼ばれてましたが

漢の景帝が「太守」と名を改めた……と

後漢書の光武帝紀の注釈にありました。


袁術は、孫堅が南陽に到着する以前に

もう面識があった事になってます。


黄巾を討伐した際

汝南で袁術に会ってたとか?


やはり、ここは

二人の共謀説を推したいところです。


註12.

吳歷曰:初堅至南陽,咨旣不給軍糧,又不肯見堅。堅欲進兵,恐有後患,乃詐得急疾,舉軍震惶,迎呼巫醫,禱祀山川。遣所親人說咨,言病困,欲以兵付咨。咨聞之,心利其兵,即將步騎五六百人詣營省堅。堅卧與相見。無何,卒然而起,按劒罵咨,遂執斬之。此語與本傳不同。



(訳)

呉歴にいう、

孫堅が南陽に至った当初、

張咨は軍糧を供給しないばかりか

孫堅と会うことすら肯じなかった。


孫堅は軍を進発させようとしたが、

(張咨が)後難となることを恐れ

そこで、急病に罹ったと詐称した。


軍勢は挙って震え恐れ

巫子や医者を呼んで迎え入れ

山川へ祈祷を行った。


孫堅は親しい人間を遣って

張咨に、病に苦しんでいるため

私(孫堅)の兵をあなたに

付属させたい、と説明させた。


張咨はこれを聞き、

孫堅の兵を手に入れれば

利益になると内心で考え、

すぐに歩兵・騎兵六百を率いて

孫堅の見舞いにその陣営を訪れた。


孫堅は伏して張咨に見えたが、

何事もなかったかのように

卒然と起き上がると、

つるぎを手に取って張咨を罵り、

かくて彼を斬った。


ここで語られている内容は、

本伝と同じでない。




(註釈)

三国志の本文では、

孫堅が張咨に牛肉とお酒を振る舞い、

返礼に訪れた張咨との宴会の最中に

孫堅の部下が張咨の悪事を摘発して

孫堅に処刑される……という流れでしたが


呉歴では、張咨は孫堅に

会おうとすらしていなかった、としており


そのまま彼を放置しておけば

後顧の憂いになると考えた孫堅は

急病を偽って彼を油断させ、

兵を預けるという名目で

誘き寄せて討ち取るという作戦に出ます。



前者は孫堅の厳格さが

後者は孫堅の機転、悪く言えば狡猾さが

よく出ているエピソードになってますが

どっちが正しいんだろう??


どちらにしろ、張咨は

孫堅のジャマをしようとしたのだけは

間違いなさそうです。



本文で親董卓に書かれている

張咨はともかくとして、

荊州刺史の王叡は、反董卓連合に

加わる手はずじゃなかったんでしょうか?


共通の大敵、董卓を前にしながら

この頃からもう袁紹と袁術の

水面下のナワバリ争いが

始まってるのかな。


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