註二十一、陥陣営
註21.
英雄記曰:順為人清白有威嚴,不飲酒,不受饋遺。所將七百餘兵,號為千人,鎧甲鬬具皆精練齊整,每所攻擊無不破者,名為陷陣營。順每諫布,言「凡破家亡國,非無忠臣明智者也,但患不見用耳。將軍舉動,不肯詳思,輙喜言誤,誤不可數也」。布知其忠,然不能用。布從郝萌反後,更疏順。以魏續有外內之親,悉奪順所將兵以與續。及當攻戰,故令順將續所領兵,順亦終無恨意。
(訳)
英雄記にいう、高順の人となりは
清廉潔白で威厳があり、
酒を飲まず、金品を受け取らなかった。
統率していた兵は七百余であったが
千人と号していた。
鎧・兜・武器はすべて精錬され
よく整えられており、
攻撃するたびに敗れぬ者はなく
「陥陣営」と渾名された。
高順はいつも呂布を諌めて言っていた。
「凡そ、家が破れ国が滅ぶ時には
忠義の臣や、智謀に明るい者が
いなかったという訳ではなく、
ただ、(識者や忠義者の)意見を
用いられないのが問題なのです。
将軍は行動を起こされるとき
よく考えず、すぐに喜んで
間違ったことを言います。
これまでの失態は数え切れません」
呂布は高順の忠義を認めていたが
用いることができなかった。
呂布は郝萌が反乱を起こしてから
更に高順を疎んじるようになった。
魏続は呂布の縁者であり
高順の兵を悉く奪って魏続に与えた。
攻戦に及んだときには、
呂布はわざと高順に命じて
魏続の兵を率いさせたが、
高順は終生恨みに思わなかった。
(註釈)
「陥陣営」の渾名はかっこよすぎです。
王粲はほんと高順を持ち上げますね。
反逆者の郝萌を討ち取った高順なのに
呂布はそれのどこが気に障ったんでがしょ。
むしろ彼に感謝してしかるべきだと
思うのですが…………
もう、呂布が狭量とか短慮とか以前に、
あまりに高順ageのエピソードを
でっちあげすぎて、前後の繋がりが
不自然になっちゃったんじゃ??
呂布は単純に、高順がクドクドうるさいから
遠ざけてたんだと思います。
孫権と張昭みたいな感じで、
信頼はしてるんだけど使わない、的な。
「以魏續有外內之親」
ここ、どう訳したらいいのか
よくわからなかったです。
魏続が呂布の親族なのはわかるんですが
「外」と「内」が入ってて複雑に。
外戚の身内、
外にいた内縁者の親族、とか
単純に遠縁とか?
詳細に訳すのを放棄して
「縁者だった」と訳してしまいましたが
本当のところはどーゆー関係なんでがしょ。
常山の戦いで出てきた魏越が
あれ以来一切出てきませんが
おそらく、途中で亡くなってしまって
身内の魏続が後を継いだとか?
魏越も実は呂布の縁者だったんだよー、
と、推測の域を出ませんが、
そういう風にとらえておきます。