註十七、陳宮に従わず(魏氏春秋ver)
註17.
魏氏春秋曰:陳宮謂布曰:「曹公遠來,勢不能乆。若將軍以步騎出屯,為勢於外,宮將餘衆閉守於內,若向將軍,宮引兵而攻其背,若來攻城,將軍為救於外。不過旬日,軍食必盡,擊之可破。」布然之。布妻曰:「昔曹氏待公臺如赤子,猶舍而來。今將軍厚公臺不過於曹公,而欲委全城,捐妻子,孤軍遠出,若一旦有變,妾豈得為將軍妻哉!」布乃止。
(訳)
魏氏春秋にいう、
陳宮が呂布に謂った。
「曹公は遠方より来たり、
その勢いを長く保てません。
もし将軍が歩兵・騎兵を出して
外部において陣を敷かれれば、
私が残りの者達を率いて
城門を閉ざして内部を守ります。
もし敵軍が将軍に向かって来たなら
私が兵を牽引して敵を背後から攻め、
もし敵軍が城を直接攻めて来たなら
将軍が外部より救援なさるのです。
旬日を過ぎずして軍糧は必ずや払底し
これを撃ち破ることができましょう」
呂布は、陳宮の言うことが
尤もだと思った。
呂布の妻が言った。
「昔曹氏は公台を
赤子の如く待遇しましたのに
それでも彼は曹操を捨てて来たのです。
今将軍は公台を厚遇しているとはいえ
曹氏のものには及びません。
ですのに、城内のことを全て彼に委ねて
妻子を捨てて、孤軍は
遠くに出てしまうのですか??
もし、一度変事が起きてしまえば、
妾はどうして将軍の
妻のままでいられましょう!!」
呂布はそこで計画を中止した。
(註釈)
范曄の後漢書、
司馬光の資治通鑑はともに
ここの記述を採用しています。
資治通鑑は先程の英雄記の記述も
大体採用してますが、
奥さんの恨み節(?)は全カットされてます。