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淡々三国志  作者: ンバ
魏書第七、呂布伝
121/603

註十六、陳宮に従わず(英雄記ver)

註16.

英雄記曰:布遣許汜、王楷告急於術。術曰:「布不與我女,理自當敗,何為復來相聞邪?」汜、楷曰:「明上今不救布,為自敗耳!布破,明上亦破也。」術時僭號,故呼為明上。術乃嚴兵為布作聲援。布恐術為女不至,故不遣兵救也,以緜纏女身,縛著馬上,夜自送女出與術,與太祖守兵相觸,格射不得過,復還城。布欲令陳宮、高順守城,自將騎斷太祖糧道。布妻謂曰:「將軍自出斷曹公糧道是也。宮、順素不和,將軍一出,宮、順必不同心共城守也,如有蹉跌,將軍當於何自立乎?願將軍諦計之,無為宮等所誤也。妾昔在長安,已為將軍所棄,賴得龐舒私藏妾身耳,今不須顧妾也。」布得妻言,愁悶不能自決。



(訳)

英雄記にいう、

呂布は許汜きょし王楷おうかいを遣って

袁術に急を告げさせた。


袁術は言った。


「呂布は自分の娘を私にくれなかった、

ことわりから言って自ずから負けて当然だ。

何故また報せにやって来たのだ?」


許汜と王楷は言った。


「明上は今呂布をお救いにならず

自ずから敗北を招いたとされますが、

呂布が破られれば、

陛下もまた破滅するのです」


袁術はこの時、帝号を僭称しており

故に「明上」と呼んだものである。


袁術はそこで、兵を整えて

呂布のために救援を声明した。


呂布は袁術のもとに娘を送らなかった故に

救援の兵が派遣されない事を恐れ、

娘の身に錦衣を纏わせ馬上に縛り付けて

夜間に自ら娘を送り出して

袁術に与えようとしたが、

太祖の守備兵と接触して

弓矢によって阻まれたために

通過する事ができず、また城へと引き返した。


呂布は陳宮と高順に命じて城を守らせ

自らは騎兵を率いて

太祖の補給路を断とうとした。



呂布の妻は謂った。


将軍あなた自ら出兵して

曹公の糧道を断とうとのお考えは

理に適っております。


ですが、陳宮と高順はもとより仲が悪く、

将軍がひとたび城を出てしまえば

両名はきっと、心を同じくして

共に城を守ろうとはしないでしょう。


もしも間違いが起これば、

将軍は何処を根城に自立なさるのですか?


願わくは将軍、

その計画をお諦めになって、

陳宮らが間違いを起こす事が

無きようにしてくださいませ。


わたしはかつて長安にいた折、

已に将軍から捨てられています。

龐舒ほうじょを頼って

私的に妾の身を匿い得たのです。


今回も、私のことを

顧みる必要はありませんからね」


呂布は妻の言葉を聞いて煩悶し

決断することができなかった。


(註釈)

許汜と王楷が再登場です。

確か兗州での張邈の謀反に

加担した人たちでしたよね。



また、呂布を諌める奥さんのセリフが

後漢書とだいぶ違ってますね。


行っちゃダメ!!ってとこは

同じなんですが、


「後漢書」は

あなたの妻でいさせてください。


「英雄記」は

いよいよとなったら捨ててください。


と、まるで正反対です。




後漢書の奥さんは、

呂布と離れるの不安なんだろうな、

っていうのが伝わってくるんですが


英雄記の奥さんは


「私一回あなたに捨てられてますからねー。

今更もう一回くらいね?

ええ、別になんとも思いませんから」


「私のことは気にしないで。

このあいだの時は、親切な人に

匿ってもらいましたから。

今度も、きっと大丈夫よ」


ってまぁ、健気なようにも

強かなようにも、嫌味言ってるようにも

呑気なようにも、いろんな意味に聞こえます。


呂布の性格上、こう言っとけば

大丈夫だろ……という思惑が見えるような。


とにかく、どちらの内容でも

奥さんのセリフが、呂布に

決断を踏み切らせませんでした。



後漢書・資治通鑑にはありませんが

三国志演義にはこの台詞は採用されており、

泣きながら言ってるので、また

印象が違ったシーンになっています。



また、陳宮と高順が

不仲だと言われています。


「英雄記」では

陳宮が郝萌らと内乱起こそうとして

高順と曹性に阻まれているので

間違いなくギクシャクしてるんだろうなと

思ったら案の定であります。


この設定は、厄介なことに

ゲームでもちゃんと反映されてるので、

呂布で君主プレイするときには

陳宮と高順を組ませないよう

注意が必要です。

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