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淡々三国志  作者: ンバ
蜀書第六、関羽伝
12/603

五、髭殿が一番!

5.

先主西定益州、拜羽董督荊州事。羽聞馬超來降、舊非故人、羽書與諸葛亮、問超人才可誰比類。亮知羽護前、乃答之曰:「孟起兼資文武、雄烈過人、一世之傑、黥・彭之徒、當與益德並驅爭先、猶未及髯之絶倫逸羣也。」羽美鬚髯、故亮謂之髯。羽省書大悅、以示賓客。


(訳)

先主が西方の益州えきしゅうを平定すると

関羽を荊州けいしゅうの総督に任じた。


関羽は馬超ばちょうが来降してきた事を聞くと

もとより知る人物ではなかったため

諸葛亮に書状を与えて

馬超の人格と才能は

誰に比類すべきか問うた。


諸葛亮は関羽の護前(一番じゃなきゃ嫌)

を承知しており

これに答えて(返書の中で)述べた。


孟起もうき(馬超のあざな)は

文武の資質を兼ね備え、

雄烈は人に過ぎ、

一世の傑物であって、

黥布げいふ彭越ほうえつの徒と言えます。


益徳えきとく(張飛のあざな)と

並んで駆け先を争う人物でしょうが

それでもなお、ひげどのの

比類なき絶倫ぶりには及びません」


関羽は鬚髯しゅぜん(顎と頬のヒゲ)

が美しかったので

それ故に諸葛亮は関羽のことを

髯どのとったのである。


関羽は手紙を読むと大いに喜んで

賓客ひんきゃくに示した。


(註釈)

赤壁のあと、荊州けいしゅうの南を手中に収めた劉備は

周瑜しゅうゆの死を皮切りに益州(蜀)を狙います。


赤壁で反曹のスタンスを

明確にした孫権は、長江を挟んで

合肥ごうひ濡須口じゅしゅこうで魏軍と激突。


天下統一に王手をかけた曹操が(つまず)

劉備と孫権の勢力が伸張したことで

中華大陸は三国鼎立の様相を呈します。


益州の劉璋りゅうしょうは漢中に割拠する

怨敵の張魯ちょうろ並びに

漢中を窺う曹操に対抗するため

同じ劉姓である劉備を招聘します。


劉備は荊州の抑えに

関羽・張飛・趙雲・諸葛亮らを残し

魏延ぎえん黄忠こうちゅう卓膺たくよう霍峻かくしゅんらを連れて

益州へ向かいました。


劉備は北の葭萌かぼうに駐屯すると

すぐには張魯を攻めようとはせず

人心の収攬しゅうらんに努めます。

あとあと領土にする気満々ですね。


折しも曹操が孫権を攻め

孫権が劉備に救援を要請します。


同時期に荊州の関羽も

曹操軍の楽進がくしんと交戦しており

劉備は危急の事態であるので

劉璋に兵と救援物資の応援を頼みましたが

要求の半分以下しか寄越さなかったため

劉備と劉璋は不仲になりました。


劉備と劉璋は程なくして交戦状態となり

劉備は諸葛亮・張飛・趙雲らを呼び寄せ

関羽だけを荊州に残しました。


馬超は潼関どうかんで曹操に敗北した後

漢中に出奔して張魯に身を寄せていましたが

李恢りかいの説得で劉備の下へやって来ます。

馬超の加入が決定打となり

劉璋は劉備に降伏、

214年、劉備は遂に益州を領したのです。


関羽は馬超がどんな人物か

わからなかったので

諸葛亮に手紙をやって

「馬超って誰くらい?」と尋ねます。


ここで

「関羽さんと同じくらい強いですよ」

などと答えると不機嫌になるのを

諸葛亮は知っていたので


「馬超はめちゃくちゃ強い、

黥布や彭越のレベルで

張飛と同じくらい凄いけど

髯どののレベルには及ばない」


と、ベタベタに関羽を褒める

返書を出したのでした。


関羽はヒゲが美しく

「美髯公」と呼ばれることもありますが

「美しいヒゲ」の出典はこの記述です。


来客に諸葛亮の手紙を

見せびらかす関羽を想像すると

すっごく可愛く思えてしまいますね。

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