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淡々三国志  作者: ンバ
魏書第七、呂布伝
104/603

註八、袁術を諌めるゾンビ

註8.

獻帝春秋曰:袁術議稱尊號,邈謂術曰:「漢據火德,絕而復揚,德澤豐流,誕生明公。公居軸處中,入則享于上席,出則為衆目之所屬,華、霍不能增其高,淵泉不能同其量,可謂巍巍蕩蕩,無與為貳。何為捨此而欲稱制?恐福不盈眥,禍將溢世。莊周之稱郊祭犧牛,養飼經年,衣以文繡,宰執鸞刀,以入廟門,當此之時,求為孤犢不可得也!」案本傳,邈詣術,未至而死。而此云諫稱尊號,未詳孰是。



(訳)

献帝春秋にいう、

袁術が尊号を称すると議したとき、

張邈は袁術に向かって言った。


「漢王朝は火徳に

断絶しても再び舞い上がって

恩沢は豊かに満ち満ちて

明公が誕生されました。


公は枢軸の中に居り

入れば則ち上席を享け

出れば則ち衆目の所属となって

華山・霍山すらその高さに及ばず、

淵泉とてその(水の許容)量を

同じくする事は出来ません。


巍巍ぎぎ蕩蕩とうとうと謂うべきで

ともに並ぶ者はおりませぬ。


どうしてこれを捨てて

称帝しようとなさるのですか?


恐らく福はまなじりにも満たず

禍は世に溢れております。


荘周(荘子)が述べるところにも


郊祭こうさいの生贄となる牛は、

年を経て養われ、文繡を衣とし、

主宰が鸞刀らんとうを執って廟門に入ったその時に、

卑き孤牛たる事を求めても

かなわないのです!」


(わたくし松之が)調査したところ、

本伝では張邈は袁術を詣でたが

到着せぬうちに死んだとある。


しかしここでは尊号を称す事を

諫めたと云っている。

孰れが正しいのか詳らかでない。


(註釈)

一度滅んでもまた復活して、

「漢」という国号が実に

400年間も続いているため、


この時代の人たちには

「漢は永久不滅」

「例え滅んでも第二の光武帝が現れる」

という共通認識が

心の根底にあるはずです。




董卓が幼き天子を擁立したあと


袁紹は別の皇族

(光武帝の子孫、劉虞りゅうぐ

を立てようとし、


袁術は自分が皇帝になろうとし、


曹操は董卓の立てた帝を奉戴しました。



この中で、袁術の取った行動が一番大胆です。


漢の400年に見切りをつけ、

朕が皇帝じゃぁぁぁい!!!!って

宣揚しているわけですから。


170年代に、会稽の許昌きょしょう

〝陽明皇帝〟を自称して独立していますが

割とすぐ孫堅に潰された前例があり、

袁術も即位してからたった2年で滅びました。



もし袁術が最終勝者になっていれば、

「三国志」でなく

「仲書」という歴史書が

編纂されていたことでしょう。


袁術は曹操・劉備と敵対し、

孫堅と孫策にみみっちい対応をしたため

三国全ての史書で悪く書かれがちですが

本来もう少し有能な人物だった筈です。

歴史はあくまで勝者の目線で

語られてしまうので……


張邈がここで引用した

荘周というのが老荘思想の『荘子』です。


楚王からの出仕の要請に対して、

「俺は悠々自適に生きるんだ、

ほっといてくれよ」と返した時に

このスケープゴートならぬ

スケープカウの話をしました。



また、裴松之先生の言う通り、

本文では袁術と会見する前に

殺されてしまっている筈の張邈が

袁術を諌めているのは……??????


ゾンビ?亡霊?影武者??


悪魔将軍に

スピン・ダブルアームソルトを

かけられた筈のジェロニモが

次のコマでしれっと、

ロビンマスクの後ろに

映ってた時くらいの衝撃です。



ここは本文に従って

張邈じゃなく、他の人が

諫めたという認識にしておきます。

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