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花言葉シリーズ

いつもココロには花を

作者: 尚文産商堂
掲載日:2009/04/16

本作は、『春・花小説』企画に対して投稿する予定だった作品です。

諸所の事由により、投稿するのをやめ、独自投稿という形をとらせていただいています。

夕方5時。

私は一輪の花を持って彼を待っている。

付き合ってから1年。

私のほうから、無理を承知で告白したのが最初だった。



「付き合ってください!」

高校の同級生。

彼に告白をしたのはその高校生活の最後の日である、卒業式の日。

誰もいなくなった体育館の隅っこで、そう彼に伝えた。

その時、手にしていたのは、いかりそう。

花言葉は、あなたをとらえる。

私は、それを彼に渡そうとした。

彼は、笑って受け取った。

「いいよ」

こうして、私たちの恋愛は始まった。


大学は別々のところへ進学していたけど、メールのやり取りで付き合いは続けた。

4月、入学式を終えて、私はふと、家の外を見た。

虹が出ていた。

広々とした空にかかった1本の橋。

私は、ついぞ見とれていた。

きれいだったから、携帯で写真を撮ろうとした。

そのとき、ふと別の写真が目に入った。

今日の帰り、おなかがすいていたから食べた杏味のアイスクリーム。

「そういえば、杏の花言葉は、誘惑だったわね」

私は、くすっと笑っていた。


気づいたときには、虹は消えていた。

「あ…まあ、いっか」

私は気にせずに携帯の写真データを見ていた。

いろいろな花の写真をとっていた。

その中の一枚が、私の目に飛び込んできた。

「これって…」

それはちょっと前、春休みの時、一緒に行った先で撮った一枚の写真だった。

「なんて花だっけ…」

そのときは覚えていたのだが、ふとしたときに聞かれると忘れていた。

あわてて辞書片手に調べてみる。

「ええっと…ディモルフォセカ…花言葉は元気」

私は、空を見上げた。

「私って、元気?」

私自身は分からなかった。


夏、私は元気に振舞っていた。

元気だと、そう思っていた。

そんなある日、彼から花をもらった。

たった一輪。

「これ…」

「桔梗だよ。それに…」

私の髪にさしてくれた飾りは、ハイビスカスだった。

「あまり、無理するなよ」

私は、何もいえなくなった。

「…ありがとう」

どうにか一言だけ言う。

彼は、それを聞いて笑っているだけだった。


秋になると、外へ行くよりも中にいる時間のほうが増えてきた。

それでも、少しずつ深まり行く秋を探しに外へ行くこともあった。

「お前さー、寒くないか?」

「え?」

軽めの服装で出かけたとき、彼がそういった。

一方の彼は、厚着をしてきていた。

さらには、カリン味ののど飴もなめていた。

「風邪だったら、私に移さないでよ」

「はぁ?俺から風邪をうつしたところで、お前は感染しないだろうが。気温が12、3度ぐらいで、よくそんな薄着で過ごせるな」

「元気だからだよ」

私は、そんな彼に言った。

「元気だから、こうやって一緒に外に出れるの」

私は、彼の腕につかまって、上目遣いに言った。

彼は、照れているようだった。

しかし、それでも彼は私のことが好きらしかった。


冬になると、完全に雪で外に出ることが難しくなった。

それでも、外へ出ようとする私を、彼は押しとどめた。

「外は寒いだろうが。こんなときにわざわざ外に出なくてもいいじゃんか」

そういうので、私は結局家の中にいた。

「…で、何で風邪を引かない」

「前も言ったでしょ。私は元気なの」

彼は、前と同じように、厚着して家に来ていた。

南天あめをなめていた。

「それで、どうするの?」

「どうするって、何をだよ」

彼は、私が飾っていたシクラメンを見ながら言った。

「…私との関係」

彼は、一気に熱が2度も3度も上がったようだった。

「何だよ突然」

「こんな関係でいいのかなって…」

彼は、ゴロンと横になって、天井を見ながら言った。

「いいんだろーが、べつにさ」

外を見ると、コニファーに雪が積もっていた。

彼が、何か思いつめた表情だったのを覚えている。


そして、今。

私は、花を一輪だけ持って立っている。

花の名前は、オオヒエンソウ。

花言葉は、私の心を読んで。


30分ほどすると、彼が向こうから歩いてきた。

「ごめんごめん。ちょっと手間取っちゃって」

そんな彼も、何かの枝を持ってきていた。

「で、話って?」

「あの…」

私は、花を差し出した。

彼は、キョトンとした表情を見せた。

「受け取ってください」

彼はとりあえず受け取った。

「これは?」

彼は困っていた。

「オオヒエンソウ。花言葉は、私の心を読んで」

「…じゃあ、俺からも」

彼は、そういって彼が持ってきたその小ぶりな枝を渡した。

小さな、白い花がついていた。

「レモンね」

「そう。花言葉は、誠実な愛」

私はハッとした。

「お前の家においてあるあの植物たちにも、それぞれ恋に関連した花言葉がついてる。俺の家に帰ってからいろいろ調べてみたんだ」

そういって彼は私にその思いを伝えた。

「前はお前から言ったから、今度は俺の番だ」

そして、一気に言った。

ポケットから、小さなプレゼントを出して。

「こんなものしか出せれないけど、俺たちって最高のコンビだと思うんだ。だからこそ、こうやって断言できる。大学を卒業してからでもかまわない。だから…」

そこで同時に言った。

「結婚をして……」

ほしいという言葉を、互いに飲み込んだ。

そして、どちらともなく笑い出した。


5分ほどしてから、改めて彼が言った。

「結婚を前提に、付き合ってもらえるか?」

「もちろん。これまでそのつもりだったのよ」

私はそう彼に言った。

待ち合わせ場所に、小さな花壇があった。

そこに咲いていたのは、紅いバラだった。

以下、参考ページ。

"http://www.birthdayflower366.com/04/08.html"→いかりそう

"http://www.birthdayflower366.com/04/12.html"→あんず

"http://www.hanakotoba.name/archives/2005/09/post_386.html"→ディモルフォセカ

"http://www.birthdayflower366.com/08/12.html"→ハイビスカス

"http://www.birthdayflower366.com/11/21.html"→かりん

"http://www.birthdayflower366.com/12/07.html"→シクラメン

"http://www.birthdayflower366.com/12/10.html"→コニファー

"http://www.birthdayflower366.com/04/17.html"→ラークスパー[おおひえんそう]

"http://www.birthdayflower366.com/05/22.html"→レモン

"http://www.birthdayflower366.com/05/07.html"→ばら


一応、規格外作品という形式なので、花小説企画に対して、本作品からリンクをはらないことにします。

しかし、一度読んでおいて損は無いと思います。

それでは!

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