50話 そして新たな戦いへ
遅れて申し訳ありません……FGOは44連でジェーン1枚……Sタル
シャルロットの援助もあって裏通りの治安は大きく改善され学舎もできた。最初はフィーユとレティシアに頼ったがシャルロットの人脈でちゃんとした講師も引っ張ってこれて最近じゃセシルまで授業を受けたり逆に教師役をやったりしているらしい。
色々あったが裏通りはいい循環に乗ってこの先どんどんと改善されていくだろう
「やぁ、メディク君。今回はご苦労さまだったね」
「……先輩」
久しぶりに学院の図書館に戻った俺に待ち構えていたかのようにアーサー先輩は声をかけてきた。いや、実際待ち構えていたんだろうなこれは……
「君の活躍はロッテやマーサから細かく聞いたけど、まったくもって大活躍だったね」
「確かに俺も頑張りましたけど、シャルロットが俺の提案を受け入れてくれてマーサさんやレティシア、フィーユ、それから隊長が動いてくれたからですよ」
「はは、謙遜がすぎると嫌味になるよ。ロッテ達が動いたのも君がいたからだし、そもそも君の提案がなければ動きようもなかったよね」
「……めぐり合わせが良かった、そう思ってます」
謙遜でもなんでもなく、素直にこうとしか言えない。前世の知識でコレラを知っている俺が裏通りにいて発見したことも、そして俺の提案を受け入れてくれるシャルロットとのつながりがあったことも全部めぐり合わせが良かったから。俺のおかげで全部なんとかなった、なんて考えるのは傲慢にもほどがある。
「ふぅん、そうかいそうかい。めぐり合わせ、なら僕が君を白亜亭に紹介したのもめぐり合わせが良かったということだね。うんうん、いやぁ我ながらいいことをしたもんだ……でもやめちゃったんだってね、白亜亭」
本当に耳が早いなこの人は。白亜亭を辞めたのは昨晩のことだってのにもう知っているとは……
「すいません、先輩の紹介ではじめたのに相談もなく決めてしまって」
「いやいいさ、僕はただマーサと引き合わせただけだし。でもなんでやめちゃったんだい? そりゃ給料は良くなかったけどマーサから回復魔法の手ほどきを受けることができるしセシルともうまくやれてたんだよね? 今回の件で住人からも信頼されて……辞める理由が見当たらないんだけど」
確かに先輩の言う通りだ。マーサさんという国最高の回復魔法師からの指導を受けられるし、美味しいケーキもあれば人間関係だって悪くなかったと思う。マーサさんともセシルとも、それから常連さんたちともうまくやれていた、はずだ。ただ、それでも……
「俺が回復魔法の修行をしたところで……限界がありますから。俺はまぁ並よりはマシかもしれませんけどそれでも、天才じゃありません」
「というと?」
「俺がマーサさんのところで修行して回復魔法に専念するよりも学院で学ぶこと、多くの病について多くの魔法について、多くの研究について知ったほうが多くの人を救えると思ったんです」
今回の渇き病、コレラで思い知った。回復魔法には多くの人を救う力があるし、学ぶ価値も多いにある。だけど決して回復魔法は万能ではない。
それこそ、俺がこの先それこそどれほど修行を積んでも届くとは思えない高みにいるマーサさんという極めた人でも救えない命は多くある、治せない病は山のようにある。そして俺はレティシアのような魔法そのものを発達させられるほどの天才ではない。
だが、だがそれでも俺にはある。唯一にして最大の武器といってもいい”前世の知識”が。コレラという地球にあった病がこの世界にあるのなら、他にもまだこちらでは治療法を知られていなくとも俺ならなんとかできる病があってもおかしくない。いや、あるほうが自然だ。
今回のように魔法にこだわらず改善策を導き、提示して協力を仰ぐことができれば……前世の知識とこの世界の現状をすり合わせれば多くの命が救える。
「無論俺も回復魔法の修行は続けますが……回復魔法そのものを極めるのはセシルや他の才能ある人がやってくれるので別方向からの努力をしますよ」
「なるほど、なるほど……より見識を広めより多くの人を救うためか。それなら確かに白亜亭に引きこもって世捨て人な修行をしている場合じゃない。うん、納得だ」
よかった、先輩にも納得してもらえた。マーサさんは理解を示してくれたとはいえ先輩が仲介してくれたバイトをさっさと辞めてしまったことには変わりないからあれこれ文句言われてもしょうがなかったから……
「でも、それならなおさら疑問なんだけど。なんで英雄になることを望まなかったんだい? その方向性でいくなら英雄になるのが一番手っ取り早い手段だと思うよ?」
「……そのあたりは、シャルロットに説明しておいたんですが」
「うん、政治的に面倒くさいことになるし君が名誉だ立場に執着しないのも知っている。でもそれって、強引にいくらでもねじ伏せることができる面倒さだし名誉と立場も君がやりたいことでは有効な武器だよね?」
「ねじ伏せる、ですか」
「仮にそうだね、君に回復魔法師界隈がぎゃーぎゃーいってきたら、渇き病に対して君等なにもできなかったよねって黙らせるし、これの有効性わからないとか君等無能って証明したいの? って感じにもっていくこともできる」
「……問題はそれだけじゃ」
「ノワル家のことを気にしているなら”英雄の子はやはり英雄だった”でいくらでも持ち上げることができるし、なんならあれだ”これだけ優れた才能をもった子を見逃していたなんてノワル家はどれだけ節穴なんだ”てな流れにもっていけば君の評価は一発逆転」
昼行灯の証明、か……無能を装っていた有能が好きなのはどの世界でも変わらない。確かに俺の功績が発表されたら”ノワルの者”としての無能さを自覚し、お家騒動を避け汚名を甘んじて受け、そして”別分野で才能を発揮した”なんて流れにもできるしノワル家を貶めるのもできる。
「そして”乾き病から国を救った英雄”の肩書があれば多くの障害や妨害もその実績でねじ伏せられるよね? もし、実家を貶めたくないならそれこそ僕の直属として取り立ててもいいし、他にもいくらでもやりようはある。君がやりたいことに君の実績を使い栄達する。実に自然じゃないかな?」
先輩は俺を自分の派閥に組み込みたいとかそういうのじゃなくて、純粋に俺のために言ってくれている。少なくとも俺にはそう思える。そして先輩の言う通りにすると確かにそれなりのトラブルはあるだろうが多くの利益はあるのも間違いない。だけど……
「先輩、俺は英雄なんてがらじゃないですしまだ十六なんでそういうのは早すぎます」
「若い英雄の何が悪いんだい? 事実レティシア君だって若くして天才だなんだともてはやされているし他にもいくらでも十代の英雄は」
「今回のことはたしかに頑張りましたけど、まだまだ俺には基礎が足りてない。もっともっと多くのことを勉強したいんですよ。英雄としての責任だなんだを背負うだけの背骨が俺にはない」
たまたま、そうたまたま俺が前世の知識を持っていて動けるだけで素の能力で考えれば俺は凡人もいいところだ。経験も、才能も何もかも足りなすぎる。今無理に英雄なんて持ち上げられたところで結局は政治力学に長けたやつに利用されたり足をすくわれて終わるだろう。
「なんで今回の功績だなんだは全部シャルロットにつけてあげてください。あいつの派閥に何かがいる、そうなったらあいつの評価もあがりますしあいつなら俺よりうまく立ち回れますしね」
「……君がうけるべき称賛も栄誉も全部ロッテに押し付ける、と。功を正しく讃えるは上に立つものの義務なんだけどそれすらさせてもらえないのかい?」
「上からの評価って意味ではシャルロットが、そしてここまでいってくれる先輩が認めてくれるなら十分じゃないですか?」
実際偉い人であるシャルロットが、そして先輩がわかってくれているなら将来然るべき時に動く手助けになる。うん、十分すぎる。
「それにもし英雄だなんだになっちゃえばここで静かに本も読めなくなっちゃいますし、学院を辞めることにもなりかねませんからね」
英雄だなんだになってここから離れる……もう、ここでゆっくりと読書をしたりお茶をする時間がなくなる。それはちょっと……寂しすぎるし人生の潤いがない。
「はぁ……そうきたかぁ。まぁうん、わかったよ。今回”は”先に動いたロッテの勝ちってことにしてあげるよ」
「ありがとうございます、先輩」
「いやいいさ……でもまぁ、ロッテに捨てられたらいつでも僕のところにおいで。君ならいつだって大歓迎だから」
「いやぁ、シャルロットが捨ててくれますかねぇ?」
「はは、確かにロッテなら捨てるどころか骨までしゃぶり尽くしそうだ……でもまぁ、よろしく頼むよ将来の義弟候補」
いやそれさすがにネタとしてどうかと思いますよ、先輩。シャルロットも言ってたけどこの人たちほんとどうなんだ……ま、いいか。ともかくいい方向に回りだしているのは間違いないんだからな。
色々とリアルがバタバタしているのでどこまでできるかはわかりませんが、これにて第三章閉幕となります。
明日も08:10ごろに




