48話 真実の価値とは
デレステは無料石30連つっこんでフェス限ミクにゃん……スカチケはりあむの予定です
「答えを……いや、さすがにそれは」
「あ、そこはすっとぼけなくても別にいいですよ。この前の塩を補充しなきゃとか洗って綺麗にしなきゃ、についてはまぁ経験則からの予想で納得なんですど今回のは結論ありきで動いて見えましたよ~?」
ごまかそうとしても一刀両断か。とはいえここではいそうです、俺には前世の……とは言えないよな、さすがに。信じてもらえるもらえない以前に教えられない理解されないことが多すぎるし。
「……昔、本で読んだことがあったんですよ。海水を渇き病の患者に飲ませたら助かった患者が結構いただとか、糞便がどうやら伝染るのに関わっているようだとか。そこから仮説をですね」
「ふむふむ……ちなみに、その本の名前は?」
「……覚えてないですね」
「そうですかそうですか……まぁ、嘘はついてないようですね?」
ああ、実際嘘はついてない。昔読んだ教科書にかつて日本や漢医学では海水を飲ませて治療していたとあったしな。
「あ、誤解しないでくださいね。別にメディク君を疑っているとか仮に……仮にですよ? 何かメディク君が山盛りの情報やら事情を隠していたしても別にそこは気にしません。どう考えてもあなたは国や周囲に害をなすことを良しとする人じゃないですし」
「別に隠しては……」
「いやぁ、メディク君。甘い、甘すぎますよ。このケーキよりも甘い。わたしのような人間がいる世界は腹の探り合いしてナンボですからもうメディク君は丸裸ですよ、ミエミエの一般人ですよ」
うっ……確かに前世でもコミュ障だったし大学でたまにいた上流階級出身者でもない一般人だったが、そこまで言われるほどか。
「まったく、本当に脇が甘いというかそこらへんの認識がダメダメというか。わたしとしては心配ですよ、この先食い物にされないかーって」
「いやまぁそこはほら、あれだ。シャルロットに守ってもらおうかなーって。俺の世渡りだの交渉はダメダメでもシャルロットとならどうにでもなるかなって」
「は、はぁ? な、なんでそこでわたしがでますか」
「だって俺はもうシャルロットのだろ?」
「なっ――‼ いやあのそれはどういう? いやあのその、あれですよ? これでもですねぇ、わたし身持ち固いっていうかその、それなりに立場もあるので根回しがと言うか、いやまぁそれでもダーリンがどうしてもというならそこはハニーとしてはやぶさかでもないといいますか」
「なんせ隊長の所に派遣されたこともあるし、俺は側から見たらシャルロットの取り巻きだしな」
「畜生しってましたよこのやろう! そういう意味でしたか、一瞬俺はお前のものだから、なんてハニー&ダーリンな甘々なこと考えたわたしの純情を返してください!」
「いやそんなこと言われてもなぁ……だがまぁ、あれだな。俺は俺の上司として仰ぐならシャルロットが一番なのは本音だがな。他の誰よりもシャルロットがいい」
この前の大隊長みたいなクソ上司の例もあるしな。そういう意味じゃ数字を根拠として提示したら理解してくれる頭があって俺にある程度のフリーハンドを与えてくれる。うん、本当に最高の上司だよ いやほんとずっと俺の直属の上でいてくれない。
「こんにゃろうまじで不敬罪やらなんやらで強制連行したろか……ああ、でも本当にわたしとしたことがちょっとちょろすぎっていうか上司としての一番でも嬉しいってこれもうおかしいでしょほんと……」
うん、なんかたまにバグるけどこれくらいよくあることだよな。
「まぁいいです。メディク君がちょっとアレで何なのは今更ってことで納得してあげます。隊長もまぁアレでなにしちゃいましたしほんと今更です、ええ。この野郎いつか覚えてやがれ」
……さらっとボロクソ言われてるし怖いことになっている気がするな。気にしないほうがいいのかもしれないが気にしないと後で大変なことになる気も……
「それよりもメディク君、わたしから一つ良いですか」
「ん? なんだよシャルロット、あらたまっ……」
「今回はこの国を、王都を救ってくれてありがとうございましたメディク=ノワル殿」
「……シャルロット、ちょっとさすがにそれは大げさ」
深々と俺に対して頭を下げるシャルロット。いや、うん。ちょっとまってくれ。これは流石に予想外というかなんというか……
「大げさなもんですか。あなたがいなければどれだけの人が犠牲になっていたと? それこそ最低でも裏通りは燃やし尽くして表通りの被害をどれくらい抑えられるかというレベル。下手したら王家をはじめ国の中枢とも言える人材からも多数の犠牲者がでていたやもしれないんですよ?」
確かに、な……コレラは空気感染じゃない。だが、その感染力はシャレにならない。かつて衛生が進んでいなかった欧州で猛威をふるい何度もパンデミックを引き起こした前科があるだけにもし俺が対処しなかったら犠牲は出ていただろう。
「本音を言えばメディク君、あなたを英雄として持ち上げて国をあげて讃えたいところです。王都を救ってくれた救国の英雄としてね。ですがそれをやると政治的に色々とですね?」
「……まぁそうだよな」
学生の俺が渇き病に気づき対処し、王都を救った。英雄物語としてはなかなかだろうが、現実ではそう簡単ではない。
上の方の回復魔法師たちとしては自分たちを差し置いて俺が勝手に動いたことを好ましいとは思わないだろうし、なぜ俺が対処方法を知っていたとなる。そして俺は”攻撃魔法のノワル家”嫡男。どう考えても泥沼の政争不可避だ。
「……すいませんね、本当に。わたしとしてはもしあなたが望むなら英雄様としてソイヤソイヤと持ち上げてあわよくばそのまま、なーんて考えたりしたんですけど」
「やめろよ、まじでやめろよ。俺は名誉とかそういうのは執着しないし、シャルロットが言う通り俺はそういう腹芸は得意じゃない」
俺は確かに前世の知識があって医学的にはこの世界では頭一つ抜けているだろうが……所詮ただの学生。政治だの派閥だのは御免こうむる、というか手に余るし胃壁がハゲる。
「ですよねー。ほんとそこでもうちょっとガッツガッツしてほしいなー、そしてそのままーなーんて思いますけどそれやるとメディク君じゃないですもんねぇー」
ニマニマと見透かしたかのように笑いやがって……実際その通りだよな。
「まぁでもあれですよ、メディク君。あなたの功績と頑張りはわたしも、そして兄さんもよーく見てますから安心してください」
「そりゃよか……兄さん?」
「はい。あなたにここを紹介したパッキンイケメン、あれわたしの兄なんですよ」
「……マジか」
アーサー先輩、シャルロットの兄かよ⁉ いや、でもなんというかたしかにどこか似ているというか偉い人の割に行動力があるというか色々と愉快なところが似てるし納得でもあるな。
「はい、マジです。いやぁー、べたべたほめほめでしたよ? マーサさん紹介してよかったー、とか。将来俺の直属で仕えてくれないかなーとか、お義兄上とよんでもいいのよ、つーか呼べとか」
「おい、最後ちょっとまて」
「ははは、我が兄ながら何いってんですかねぇほんと」
「本当にな……」
うん、まじで兄妹だよアーサー先輩とシャルロット。言動とか振り回し方とか。
拝啓ヒポクラテス、そろそろ畳むかもしれません。
続きは明日の08:10ごろに




