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4話 よんでないのにはえる、それが雑草

デレステ無料10連はらんらんがきてくれました……りあむぅどこだぁ……


 実際俺は学院生活にちょっとワクワクしている。なんせ前世の大学は、もっと言えば中学高校も実質医者になるための一本道。中高は理系クラスだし、大学のカリキュラムはほぼ全部必修。幅を広げたり将来のことを考えるってのはなかったからなぁ。


「ただ、攻撃魔法はもう諦めるつもりだがな」


「え?」


「何がえっ、なんだ?」


「いや、メディ兄はノワル家の跡取りなんだから攻撃魔法を頑張らないと」


「無茶を言わないでくれよ。俺がここで攻撃魔法専攻だなんて、蛙に空を飛べというようなものだぞ」


 自己学習で頑張るのはまだいいし自分に勝てばそれで済むが、学術として他者と比較評価されるとなると話は別だ。そもそも、この世界の魔法使いは高難易度高威力主義の影響でスペシャリスト至上主義。父さんたちも攻撃魔法しか使えないし、専門とする魔法以外の修練は無駄という風潮。そんな状態で才能がない攻撃魔法を専攻だなんてどう考えても、赤点で良くて留年下手すりゃ放校の未来しか見えない。


「でも、伯父様たちはここでならメディ兄の攻撃魔法が少しはマシになるかもって」


「攻撃魔法は十分したし、いいだろもう」


 むしろ今の今までよく頑張ったと自分で自分を褒めてやりたいくらいだ。まぁこれからは割り切って攻撃魔法は全捨てで……


「メディ兄、あたしと一緒に授業受けるの嫌なの?」


 だからなんでそこで捨てられた子犬みたいな顔をするんだこの妹分は。しかもいつの間にか呼び方がメディ兄に戻っているし……まぁいいか。


「いやってわけじゃないぞ。ただ攻撃魔法に関しては一緒の授業を受けたら俺かレティが時間を無駄にすることになってもったいないだけだ」


 攻撃魔法に関しちゃ大学生と幼稚園だからな。一緒なんて無理ゲーにもほどがある。


「で、でもせっかくメディ兄と一緒の学校に行くんだから一緒に授業を……」


「気持ちは嬉しいがまずは勉強ありきだって」


 ほんと気持ちは嬉しいんだけどな。かわいいかわいい妹分が一緒に授業を受けたいだなんて、前世の俺には考えられなかった境遇だ。でも、それに甘えたり甘やかしたらだめだ。だから厳しく突き放さないとな、うん。

 そうだ、俺に言われてしょんぼりしているところにちゃんと甘えるなって……


「そうがっかりしないでも専攻魔法だけが授業じゃない。他にも受けるべき授業があるし、そこでなら嫌でも一緒になるだろ」


「ほんと⁉ よかった、学院じゃずっと離れ離れかと」


 言えるはずもなかった。いやほんと、ちょっと甘やかしすぎたか? でも、小さい頃から無邪気に慕ってくれているし立場が雲泥の差となった今でも変わらずにいてくれるんだからちょっとくらい甘やかしてもいいよな、うん。


「大丈夫だって、四六時中一緒は無理でも一緒の時間は一緒だ。それに、レティがケガとかしたら俺以外誰が治すんだ」


「うん! 頼りにしているね、メディ兄」


 さっきまでしょんぼり落ち込んでいたのにどこ吹く風。にっこにっことご機嫌な顔になっている。

 うんうん、こう娘を溺愛する父親ってこういう気持ちなんだろうな。前世分考えたら実際娘でもおかしくない年齢差だし。


「ぼっちゃま、お嬢様。ご歓談中のところ申し訳ありませんがそろそろ到着いたしますぞ」


 なんてレティシアの笑顔をみて和んでいたところに爺やに声をかけられる。そうか、もうそんなところまできたのか。


「わかった。それじゃここからはちゃんとケジメとして俺のことは呼び捨てにするんだぞ、レティシア」


「わ、わかった。メディ……ク」


「うん、いい子だぞ」


 頑張っていい間違わないようにするレティシアの姿になんかこう、無意識に頭なでそうになっていた。いけないいけない、学院ではケジメをといっていた俺がそんなことしたら説得力の欠片もないからな。でもやっぱりちょっとなでてあげたい気もするしレティシアもそんな目でこっちを見て……


「お二人様、到着しましたぞ」


 おっと、悩んでいたらいいタイミングで到着して馬車が止まってくれた。うん、これは嫌でもケジメをつけないと駄目だな。


「わかった、ありがとう爺」


 頭をよそ行きのものに切り替えて、まずはマナーとして俺から馬車を降りる。

 すると目に飛び込んでくるのはこれでもかという立派な、海外の歴史的な博物館もかくやという門。なるほど、これが学院の入り口か。うちの屋敷より大きい……てっ、感心してる場合じゃなかった。


「さ、どうぞレティシア」


「ありがとう、メディに……ク」


 よし、ちゃんと切り替えできたな。それじゃエスコートといくか。


「おい、みろあれ……」


「あの赤髪、それから止まっている馬車の家紋……ま、まさか彼女がノワルの秘蔵っ子と名高い……」


 そして俺がレティシアが馬車から降りている姿をみた周囲の、おそらく学園の関係者たちが騒ぎ出し、そのれを耳にした者たちが目線を一斉にこちらに向けてくる。

 さすがレティシア、耳ざとい関係者にはすぐバレるか。


「誰だ、レティシア様と同じ馬車でエスコートしているのは」


 あ、俺にも嫉妬の視線が集まっているな。まぁレティシアは身内の贔屓目抜きでも美人だし、評判とか考えたらそりゃ嫉妬してもおかしくないな。

 ただ、俺の場合色々と立場があれなせいかただの嫉妬の目線だけでなくてお前はそこにふさわしくないだの、レティシアの腰巾着だのという声があがってそうと邪推してしまう。

 まぁいいか、そんなことよりレティシアを入学式の会場まであんな……


「これはこれは、お初にお目にかかりますレティシア=ノワルさん」


 なんて考えていたら、人混みを割いて多数の取り巻きを連れた男がキザったらしい動作でレティシアに対して挨拶してくる。


「あなたは?」


「これは不調法を。僕はアルガス=クレッソン、あなたと同じく新入生です。どうぞ、お見知り置きを」


「クレッソン……?」


「最近色々と手広く仕事をしていて羽振りがいいと評判の新興の攻撃魔法の家だな。ほら、前に父さんところにきて追い返されてただろ」


「部外者は口を挟まないでくれるかな、僕は今レティシアさんと話しているんだよ」


 俺がレティシアに説明してやるとアルガスは不快極まりないと言わんばかりに俺を睨みつけてくる。いくらなんでも露骨すぎるぞこいつ。


「部外者って、俺はレティシアの従兄だが?」


「いやまったく、厚顔無恥とはこのことかな?レティシアさんのおこぼれで入学できたくせに保護者面だなんて。今この場にふさわしくない君がいるだけで僕たち学院生がどれだけ迷惑を被っているかわからないのかなぁ」


 あるが……クレソン野郎が調子にのって大げさに両手を広げて煽り、それを後ろの取り巻きたちがそうだそうだと追随する。

 うざい。うざすぎる。というかなんだこの絵に描いたような奴らが本当にいるのか。


「別に迷惑をかけるようなことはしていないと思うが?」


「君みたいなやつが学院生だと僕らの品位まで疑われるのさ。あーやだやだ、家柄しか能がない癖に」


「そこはまぁ申し訳ないと思うが、品位というなら初対面の相手を集団で罵倒するのはそれ以前の問題じゃないのか?」


 実際バーターで入った俺をよく思わないのはわかるし、気に入らないのも理解できる。ただ、だからといって面と向かって罵倒されてはいそうですかで済ませるほど俺は器は大きくないし煽り耐性もない。


「罵倒? 何を言っているんだい、これは正当な評価であり区別だよ。ろくに攻撃魔法も使えないノワルの出来損ないがこの学園にふさわしくないのは明白だろ?」


「そうだそうだ!」


「入学式にでるな!」


「俺たちが低レベルと思われる!」


 うーん、だめだ。馬の耳になんとやらというが、こいつらに何言っても通じないし、めんどくさい。さてどうしたもの……て、あれ? なんか暑くなってきてね? それになんかレティシアの肩が震えて……


「さぁわかったらさっさと身の程わきまえてどけ。僕とレティシアさんの貴重な時間を邪魔しないで」


「おまえらいいかげんにしろ」


 クレソンが調子にのって俺を押しのけようとした瞬間、ぞっとするほど冷たくドスの効いたレティシアの声が響く。

 うん、これヤバい。レティシアがキレかかってる。怒りで溢れた魔力で髪が比喩でなく逆だっているし、それに呼応するようにあたりの温度が明らかに上昇している。


「ひっ」


「あっわわわ」


 あーあー、クレソンも取り巻きも全員腰抜かしてるわ。特にレティシアの正面に立ってたクレソンはもう涙目。漏らしててもおかしくないなこれ。

 まぁこのままクレソンたちがどうなろうと俺のしったこっちゃないが……うん、そうもいかないよな。


「レティ、落ち着け。相手するだけ時間の無駄だ」


「でも……」


「いいから。ほら、いくぞ。早めに移動してどこかでお茶でも飲もうぜ」


 レティシアは不満げに顔を歪ませているがこの際それはどうでもいいし、へたり込んでるクレソンたちはもっとどうでもいい。正直今は一分一秒でも早くここを離れる方が大事だからな。

次話は本日12:10ごろ。ふふ、儂の書き溜めは108話……もないです、すいません

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