難易度:ハードモード
痛みは徐々に治まって来ていた。
俺は額に触れた。
まさか、これがクライナーの言っていた呪いか……?
人間を傷付けたから?
いや、それなら最初の一人に蹴りを入れた時になるはずだ。
…………殺そうとしたからか?
考えていると、背後で気配がした。
存在を忘れていた商人達が逃げ出そうとしていた。俺と目が会うと怯えた声を出す。
「い、命だけは! 金ならいくらでも……」
「黙れ」
俺は商人達に向けて掌を向け、呪文を唱えた。
「潰せ」
商人達の上に通常の何倍もの重力がのし掛かる。
商人達は大地に押し付けられた。
「あ゛が … …」
商人の顔が鬱血により赤黒く染まる。
俺は少しずつ重力を増やしていく。
次の瞬間、再び額に激痛が走った。
すぐに呪文を解いた。
商人達は気を失っているが、まだ息は有る。
「はあっ…はあっ……。クソ親父め……」
俺は痛みを堪えた。
……人間を殺せないだと!?
それで、征服しろと言うのか。
こんな奴等も殺せないなんて……。
呪文で一息に殺ってしまおうか……。しかし、死の直前であれだけの激痛だ。
殺したらどうなるのか、想像したくも無い。
厄介な事になった。
これからどうしたものか……。
考えながらも俺は気絶した商人達をそのまま放っておいて、町に向けて歩き出していた。
懐には奴等からちゃっかり頂いた金がある。
とにかく、町に行って様子を見る事にしよう。
商人が言っていた通り、その日の夕方には町に着いた。
町の周りは、ぐるりと一周塀で囲んである。
入り口では門番による簡単な検査が有ったが、俺の正体は見抜けなかった様だ。
基本的に魔物や盗賊避けなのだろう。
木造の家が建ち並んでいる。高くても2階建てだ。
街道からそのまま大通りに繋がっていて、入り口近くには宿屋が多い。
路地には民家が建ち並んでいる様だ。
俺はザッと町の造りを確認すると、人の多い酒場に向かった。
大きめな酒場を見つけ、押し戸を開けて中に入る。
中には3、4人組が多く見られた。恐らくこいつ等も自称勇者なのだろう。
はっきり言って、ただのゴロツキにしか見えない。
「いらっしゃい、ご注文は?」
酒場のマスターに声を掛けられたので、俺はカウンターに座り、適当にお勧めを頼む。
周囲を観察しながら飲んでいると、奥で騒ぎが起きた。
酔っ払い同士のケンカの様だ。