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解けるまで保留



シンデレラは12時の鐘が鳴ると、魔法が解けた。眠れる森の美女は王子様のキスで魔法が解けた。魔法を解くには、何が必要なんだろう?


奇跡?ロマンス?それとも愛?


解けない魔法が解けた時、きっといい事ばかりじゃない。


「離婚?」

「そうなんですよ。熟年離婚ってやつで……。」

雑然と声の飛び交う居酒屋で、日野君は少し大きな声で言った。それから、私の隣に移動してきて話始めた。

「え……なんて言っていいかわからないけど…………元気出してね。」

日野君は私の顔を見ると、少し笑った。


「いや、この年じゃショック~とかないですよ。俺の就職が決まったら離婚するって母親が何度も言ってたし。」

「でも、内定決まったからって……これ、お祝いしていいの?」


日野君はサークルの後輩で、最後に日野君がやっと内定が決まって、全員無事内定決定した事をお祝いしようと、久しぶり集まった。


「お祝いしてくださいよ~!俺は離婚だからって悪い事だとは思いませんよ。人生はいつだって再スタートする権利があるでしょ。両親の新しい門出に乾杯~!」

日野君は持っていたグラスを、私のグラスに打ち付けた。


「何、両親の離婚お祝いしてんの?祝われてるのは日野君の方でしょ?はい、乾杯~!」

今度は二人で乾杯した。


「あの…………菜都実先輩、それで、ここからが本題なんですけど、実家が無くなるので……一緒に住みませんか?」

「はぁ?」

「ルームシェアです。あ、別に俺は同棲でもいいです。」

それ言い方変えただけ。


「菜都実先輩、前から1人暮らししたいって言ってたから……」

「ちょっと待って?2人で住んだら1人暮らしじゃないんですけど?」

「2人も1人も同じようなもんじゃないですか~!」

違うよね?全然違うよね?


「じゃあ…………魔法が解けたら。」

「は?魔法?」

「催眠術がね、解けなくて困ってる人がいるの。でも、実際はかかって無くて、かけた本人に魔法がかかっちゃったの。その人の魔法が解けるまでは、その話は保留という事で。」


少し考えて日野君は言った。

「そうか!催眠術!その手があったか!」

「だからちょっと待って?催眠術で同棲しようとしてる?そもそも、そんなのかかるわけないじゃん!」


それから日野君はあれやこれやと眠らせる方法を考えて、結局酒を飲ませるという所に落ち着いた。


飲んでも飲まれるものか。ばかめ。


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