面白い
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ミホ…………!!太田の奴、マジで殴るとかありえない!!
「芦原さん!!」
「はは……あはは……。大丈夫……大丈夫……。」
ミホは顔を手で抑えながら立ち上がった。
「小崎……これでも黙って見てられんのか?お前、芦原さんの事見捨てられるのか?」
「…………。」
「小崎!黙るな!!黙るな小崎!!」
加島がそう叫ぶと、小崎が立ち上がった。
「美帆乃を殴るな!!」
小崎がキレた。キレて太田に飛びかかった。
あの小崎が…………キレた!餌が猛獣に噛みついた。
それでも、小崎は弱くて…………太田に蹴り飛ばされて、あっさり倒された。
小崎が倒れた隣には、ちょうどバスケットボールが転がっていた。小崎は、そのボールを太田逃げつけた。次々に拾っては投げ、拾っては投げるを繰り返した。
マジで……?全部当たってる……。小崎全然ノーコンじゃないじゃん。でも…………それバスケじゃなくてドッジボール。ドッジボールなら完璧。あんたドッジボールの方が向いてる。
ミホを守ろうと必死の小崎を見て思った。本当は…………ミホはこれを望んでたんじゃない?こんな、小崎の姿が見たかったんじゃないの?そのためにそこまで体張る?しっかし、加島ダサいな……。加島はおたおたしながら小崎にボールをパスしていた。
ホント…………人騒がせな二人。めんどくさい二人。あと、ダサい1人。
でも…………別に嫌いじゃない。
「こら!こんな時間に何をやっている!!どこのクラスだ!!」
そこに、体育館に先生が入って来た。
「逃げろ!!」
嫌いどころか、めんどくさいって面白いかも。