首を突っ込む
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『私、ちゃんと資格取ろうかな?』
この前そう言っていたあのテンションはどこへ…………?
「菜都実先輩、何かあったんですか?」
「誰かのイタズラで9月のうちに辞める事になったの。」
「え?イタズラ?」
菜都実先輩は現状を詳しく説明してくれた。
「小崎君と付き合ってるはずもないのに……全然信じてもらえなくて……。」
「でもでもでもでもでも、それ噂ですよね?」
「何回でも言うの?バカみたいに動揺しすぎ。」
バカって言われた!バカって!実際本当の事言われると傷つく!
どうやら菜都実先輩は写真を掲示板に貼られるという古典的方法でおとしめられたらしい。
「防犯カメラには映ってても誰か特定できないし……ネットとかには生徒が撮ったものが載ってても、直接には載せてない。そこは微妙にぬるい。」
それは…………近い人間が怪しいって事かな?
「学校としては、噂が立つ事自体アウトなんだって。まぁ、こっちは辞める身だし?別にいいんだけど。ただ…………伯父さんに申し訳ない事しちゃった……。」
そう言って菜都実先輩は凹んでいた。
「でも、やっと見つけた目標だもん。簡単にあきらめない。」
菜都実先輩は本気らしい。本気で勉強し直すらしい。
こうゆう時、年下で良かったと思える。俺と勉強どっちが大事?とか思う。でも……結婚とかはまだまだ先の話だし、全然余裕で待っていられる。
「あ、芦原さん。」
道路の向かい側に、また芦原さんを目撃した。ただ…………今度は何やらモメているようだった。
「どうしたんだろう?困ってるのかな?助けに行かないと……。」
え?菜都実先輩、首突っ込むの?もう、関係ないのに?
「芦原さん!どうしたの?」
「なっちゃん…………!?あの、私、なっちゃんの所に行くから、じゃあ!」
そう言って芦原さんは一緒にいた男と離れて、こっちの方に来た。