約束通り
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約束通り、野々村さんが話をしに来た。今度は普通に学校で。良かった……。
野々村さんとこうして二人きりで話をするのは初めてで……少し緊張する。
「茂木ちゃん、正直、先生としては認めて無いから。」
「いいよ。友達とお喋りしに来たんでしょ?」
野々村さんはなっちゃんとは呼べず、茂木ちゃんと呼んだ。
野々村さんの話題は、やっぱり小崎君と芦原さんの話だった。
「小崎が恋人より友達が欲しいって言った時、なんとなく私もわかるなって思った。でも、ミホがあんなに想いを寄せてるのに…………私、小崎に逃げるなって言ったんですよ?それでも逃げる!ミホの何がいけないの?」
野々村さんでも理由がわからないんだ……。
でも、小崎君の気持ちもなんとなくわかるような気がする。私が高校生の時は、学校が全てで、友達が全てだった。関係を壊したくないと思うのは当然かもしれない……。
「どっちを諦めさせるのが正解かな?」
「どっちって?加島君か小崎君?」
「違う。ミホが小崎をあきらめるか、小崎があきらめてミホと付き合うか。」
あきらめて付き合うって何?
「ミホにはハッキリ言った。ただの執着なんじゃなかいかって。執着でも何でも、あの二人がさっさと付き合えば済む話。でも、小崎が逃げる。あ、別にミホに追わせておけばいいのか。」
「いや、でも加島君……」
「いいのいいの、加島はほっとけば。どうせ加島は、ミホが好き~とか言ってても、私の事好きになると思うし。」
そこ断言しちゃうの!?どっから来るのその自信!?もしかして高校生にして、キャバのママ並の腕あるとか?
「でも、なんとなく…………小崎にフラれて、ミホが……ゴーレムと結婚する~とか言う前の感じに戻ったような……?それが心配。」
「それって、暗くなったって事?」
「う~ん、ちょっと違うかな?…………何考えてるかわからなくなった。が正しいかな?」
芦原さんは、私にはいつでも何考えてるかわからないんだけど……。
「私も高校生入ってからの付き合いだから、まだまだ知らない事ばっかりなのかも……。」
中学生の時の芦原さん…………それは小崎君しか知らないんだ。今度聞いてみようかな?
それから野々村さんは、進路の事とか、高校生らしい話をして、話が終わった。