説教
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説教って…………何を言えばいいの?
「あの、芦原さんフラれたって言ってたけど…………何がダメだったの?小崎君、他に好きな人がいるとか?」
「別に……他好きな人とかはいません……ただ、逃げただけです。」
「あの、どうして逃げたか芦原さんに教えてあげたら?」
芦原さんは納得いってないみたいだし……。
「小崎君はさ、芦原さんの事、本当に好きじゃないの?」
私には、嫌っているようには見えないんだけど……。
「好きです。好きですけど…………加島が好きなら諦めようと思いました。」
小崎君は加島君に譲る気でいるの?
あんなに芦原さんあからさまなのに……?それでも逃げてるの?
「それに……怖いです。美帆乃がハマればハマるほど、怖いです。」
それは……周りが見えなくなるから?芦原さん溺れるタイプなんだ……。それはなんとなくわかる。でも、それって悪い事なのかな?
「美帆乃にとって、ハマって周りが見えなくなって暴走するより、好きでもない加島と付き合う方がよっぽどいい。それに、加島はいい奴だから、不幸にはならない。」
何だか加島君に押し付けてるように聞こえるんだけど?
「それって芦原さんの気持ち無視だよね?余計小崎君に執着するんじゃない?」
好きなのに、他の人と付き合う方がいいっておかしくない?
「あのさ小崎君、幼なじみって存在に甘えてるんじゃない?社会に出れば、学生の時みたいに毎日会えて当然なんて事あり得ないし、忙しくて恋愛する余裕がない人だってたくさんいるんだよ?今、向き合えるなら、今向き合うべきだと思うよ?いつまでも今は別にいいって言ってたら……いつか後悔するよ?」
「後悔……?」
いやいや、今さらそんな顔する?
ああ……結局本当に説教しちゃった。自分の恋愛だってままならないのに、説教って何様だよ…………。ごめんね小崎君……。
「美帆乃を受け入れられる自信があるなら……とっくにそうしてます。」
好きなのに、どうして逃げるの?どうして、そんなに自信か無いのかな?何か…………理由があるのかな?その理由って何だろう?