当たり前
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「悠太、飲んだ?」
「小崎君、飲み物差し入れ!」
「小崎、飲め!!」
いや、大丈夫だって。さっき飲んだって。もう腹たぷたぷだって。
プールで脱水症状で倒れてから、みんなが僕に水分を取るように気にしてくれる。体育館は蒸し暑い。部活がなきゃ絶対に入りたくない。
「ちゃんと飲んだか~?そろそろ休憩終わり~!練習再開するぞ~!」
そういえばプールでは…………
ロッカーにペットボトルを置き忘れて、水分補給を忘れたら…………倒れた。あの後、救護室で水分補給してしばらく寝ていた。
「悠太!起きた!?」
「もう大丈夫そうだね。夏場は気をつけないと!」
「すみません……。」
美帆乃は茂木先生に連絡していた。連絡し終わると、僕に抱きついた。
「良かった~!本当に良かった!もう……心配したんだよ?」
そんなに…………目を潤ませるなよ……。背中に手を置くと、美帆乃体は冷えきっていた。救護室は冷房がきいていた。ずっと、側についていてくれたんだ……。
「美帆乃、冷たくて気持ちいい。」
そう言って、暖めるつもりで美帆乃を抱き締めた。美帆乃の肌が…………気持ちいい。
「私で涼を取ってる!?」
「君、熱中症じゃないでしょ。」
救護室のお姉さんにそう突っ込まれた。
「いいなぁ……。まぁ、ここでイチャつく元気があるなら、外に出ようか?今度からはちゃんと水分取って、こまめに休むようにね!」
「はい。ありがとうございました。お世話になりました。」
そう言って僕達は救護室の外に出た。
「悠太、もう大丈夫?」
「大丈夫そう。ずっと……ついていてくれたんだ。ありがとう。」
「当たり前だよ。」
当たり前なの?これが加島なら当たり前だとは思うけど…………
「悠太はただの幼なじみじゃないよ?」
幼なじみじゃない…………?
「悠太は私の好きな人だよ。だから当たり前。好きな人の側にいるのは当たり前だよ。」
美帆乃は…………加島と付き合ってるのに……美帆乃に告白された。