友達
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これは、ただの点数稼ぎ。こんな事で、ミホの信頼を回復できるとは思ってない。だけど…………
ミホが認めた茂木先生を認めるという事は、私がミホを認める事になる。
「これからも茂木先生に話を聞いてもらえる方法があるよ?」
「それって…………あ、本物の先生になればいいんだよ!本採用お願いしてみようかな?」
「違うよ。友達になればいいんだよ。ねぇ、ミホ、私は友達として話を聞かせてもらう価値はない?」
ミホは困ったような顔をして言った。
「それ、どうゆう意味?」
「私、ミホの信頼を失った。自分の事棚にあげて、ミホの事責めたから……友達として、もう……。」
「もう?もう何?牛?」
こんな時に、そんなスライダーみたいな豪快なダジャレ!?
「確かに、ちーちゃんに責められてショックだったけど……私もちゃんと反省したの。だって私……ちーちゃんの元カレと同じ事したんだって気がついたの。ちーちゃんが怒るのも無理ないよね……。」
「ミホ……。」
何だか……安心したのか、胸に込み上げるものがあった。何で顔が濡れちゃうんだろ。
「泣かないでよちーちゃん。もう1人の友達とも泳ごうよ!」
すると、ミホは茂木先生を呼び始めた。
「なっちゃ~ん!」
え?なっちゃん?急に一方的な友達扱い、それどうなの?
「なっちゃん、一緒にこっちのプール行こう!!日野さん、ちょっとなっちゃん貸してね~!」
ほらほら、日野さんがあんなに心配そうに見てる。年上シメたりしないって。いや、年下もシメたりしないけど。昔のスケバンとかじゃないんだから!
「ちーちゃん、次の先生が来たら辞めちゃうの?」
「うん……そう。中継ぎって言われてたしね。まぁ、今はただの給料泥棒だからね。」
「いいじゃん。自由な時間があって給料もらえるなら、それこそラッキーじゃん!」
それ、良くはないでしょ。
「あのね、茂木先生が辞めても、先生じゃなくなっても……友達でいて欲しいの!お願いします!」
「だから、なっちゃんなんだ。そっか。友達なら何も無くても話聞いてあげられるね。こちらこそ!よろしく!」
「あの、茂木先生……なっちゃん、今度……私の話も聞いてください!」
茂木先生は笑顔で言った。
「もちろん。聞くよ。だって、友達だもん。」
こうして私達に、8歳も年上の友達ができた。