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選んでよ


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「待って!待ってよミホ!ミホは茂木先生を信じ過ぎだよ。何でも話し過ぎ。」

「どうして?だって、カウンセラーの先生だよ?話聞いてもらうのが普通じゃないの?」

「あの人は名前だけだよ!カウンセラーって言っても資格もない、ただ話聞くだけの人だよ。普通は、精神科の先生や臨床心理士の資格持ってる大学教諭とかがなるんだよ?」

その事は、学校中誰もが知っていた。しかも教頭の姪という事も。


いくら、とりあえずカウンセラーを置いておきたいからと言って、どこへも就職できない無能な教頭の姪が来た事に、みんな肯定的な気持ちじゃなかった。


その存在を、私達は歓迎するでもなく、邪険にするでもなく、ただ、いないものとした。カウンセラーに話をしに行くのは、何のプライドのない暇なバカが行く。そんな雰囲気だった。


正直、私は今でも認めてない。先生でもないのに、先生と呼ばなければならない異質な存在、その違和感に納得いかなかった。


「すぐにいなくなる人間が、私達の関係をかき乱して行って欲しくないんだよね。正直迷惑。」

「私は迷惑だと思わないよ?それに、茂木先生が私達の関係を乱してるとは全然思わない。」

ミホはわかってない。小崎に何を言ってるかわからないのに……?どこをどう信じられるの?


「茂木先生は関係ないよ。茂木先生はただ、話を聞いてくれた。茂木先生は、頭がおかしいとかくだらないとか、そんな事一度も言わなかった。先生はメリットに関係なく、ただ真剣に話を聞いてくれた。」


そうだった。ミホは…………そうゆう子だった。自分自身がどう思われようが関係無くて、相手のいい所をちゃんと見ていて、誰とでも仲良くなれる。


私なんかより、相手を受け入れられる度量があるんだと思う。


それがバカだと言えばそれまでだけど…………そのバカに、いつも自分のバカさ加減を気づかされる。


やっと気がついた。私はバカだ……。器の小さい人間だ。きっと、茂木先生にまで嫉妬してるんだ……。小崎でも加島でも、茂木先生でも、きっと…………ミホをとられるのが…………気に入らないんだ。


「私、茂木先生好きだな。あとどれぐらいうちの学校にいられるんだろう……。」

「…………さぁ?」


どうしたらいい?私、ミホを失いたくない。やっとできた…………仲のいい友達。親友と呼べる人。


『野々村は欲張りだね。』


小崎にそう言われた事を思い出した。どっちも望むのは欲張りなの?どっちかしか選べないの?ミホに私を選んでよ。なんて言えない。


ミホの信頼を失った私が…………今さら…………


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