助ける
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加島…………それは無い。
お前、ちょっとイケメンキャラだろ?しかも小崎と違って運動できるし、普通に空気の読める好青年じゃないか。それが…………
高い所が苦手って!!
「キャー!怖い!怖い!怖い!」
しかも怖がり方が女子!女子みたいな声だしてんじゃねーよ!!
「だから嫌だったんですよ!小崎!お前ニヤニヤすんな!気持ち悪い!」
「いやお前のが気持ち悪いから……加島……笑っ……笑ったらいけないかと……」
「いっその事笑ってくれよ!笑ってくれた方がまだマシだ!!」
そこへ、さっき滑った菜都美先輩がまた登って来た。
「何さわいでるの?後つかえてるんだけど、まだ?」
「茂木先生!助けてください!」
助けるって、ここまで来て助けてはないだろ?
「いいよ、助けてあげる。」
「本当ですか!?良かった~やっと降りられる。」
菜都美先輩が急に笑顔になって加島にこう言った。
「黙らないと舌噛むよ?」
「え?」
そう言って菜都美先輩は、加島の胸を押した。
「ギャーーーーー!!」
後ろに倒れた加島は、あっという間に加島はスライダーに吸い込まれて行った。
「そこ、危険なので押さないでくださ~い」
「あ、すみません。めんどくさかったので。」
菜都美先輩……見事なプッシュ……。迷いがないっすね。助けるって……そうゆう意味ですか……ブラックっすね。ブラック菜都美出てますね。
加島の後、次々とスライダーで下に降りると、芦原さんが呼びに来た。
「なっちゃ~ん!」
え?なっちゃん?
「なっちゃん、一緒にこっちのプール行こう!!日野さん、ちょっとなっちゃん貸してね~!」
そう言って菜都美先輩は女子高生に連れて行かれた。大丈夫なのか……?
なんか…………急に呼び方変えるとか女子高生怖いな……。どうする?ついて行くか?でも、女同士の話に首を突っ込むとろくな事ないし……
でも、これ以上ブラック菜都美が続くのもなぁ……。
悩んでいるうちに、三人は何も無かったように帰って来た。何も無いどころか、笑って帰って来た。