プール
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連れて行かれた場所は…………地獄?地獄なの?
「あの…………俺、バスケやるって聞いたんですけど……。」
「私はプール……。」
「日野君、みんなになんて言って集めたの?」
何故か、行き先もわからず……全員車に乗せられた。
「えーと、バスケやろうとか、プール行こうとか、茂木先生が呼んでるとか?」
「全員バラバラ!」
日野君何を考えてるの!?
「とりあえず、どこ行きます?」
「ノープラン!?」
それより…………な、何なの……?後部座席から漂う険悪なオーラ……。
前と後ろで、時限が違うのかと思うほど、四人の雰囲気は最悪だった。
「みんな~!どこに行きたい~?」
「…………。」
みんな、顔に書いてあるよ?とにかく早く帰りたいって……。
「じゃ、俺が決めちゃおうかな~?」
空気を読め!日野!!
多分、あえて空気を読まないようにしてるんだと思うんだけど……そう思いたい。この四人の事、どうするんだろう?
「じゃ、せっかくみんな水着持ってるからプール行こう!!」
「え?私持ってないけど?」
「大丈夫、大丈夫。」
何が!?何が大丈夫なの!?
「菜都美先輩の水着は俺が選びました!!」
え…………えぇえええええ!!ドン引きだよ~!
「やっぱ別れよっか……。」
「最近そればっかりですね~あははははは~!」
冗談だと思われてる……。別れるに耐性がつくって…………それ、どうなの?
プールに着くと、女子と男子に別れて着替えに行った。
「私はプールサイドで見てるからいいよ。」
「菜都美先輩、生徒が溺れた時助けに行けないじゃないですか!!ちゃんと着替えて準備運動しておかないと!!」
そんな事あるか~!!
結局日野君に水着を渡されて、芦原さんと野々村さんと更衣室に来た。
日野君の選んだ水着は、水色のグラデーションの、控えめなフリルのついたセパレート水着で…………意外なほど普通で、普通すぎて、私好みの普通な水着が……逆に気持ち悪くて怖かった。こうゆう場合、センス良くても悪くても、気持ち悪い事には変わりはないんだと思った。普通の女子は嬉しい!とか思うんだろうか?
「みんな、ごめんね。なんか、無理やり連れて来ちゃった感じで……。」
「茂木先生、謝らないでください。日野さんに気を使わせたのはこっちだし……。」
逆に生徒に気を使わせてる!!
「そうですよ……。どうせ、先生私達の事が心配で、日野さんはその心配でしょ?二人してどうかしてますよ。」
「ちーちゃん、そんな言い方無いよね?茂木先生は私達の事を思って……」
「あ、うん、いいの、いいの。私もプール来たかったの!」
薄々気がついていたけど……一番の険悪はここか……。
「みんな、せっかくだから今日は楽しもうね!」
ここは私が一肌脱がないと!服を脱がないと!水着に着替えないと!!
…………結局着替えるハメに!!