負けない!
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いやいや、誰?熟女とか言ったの?全然熟女とかの年じゃないじゃん!23とか高校生守備範囲内じゃない?ストライクゾーン広く無くても有りじゃない?
話と違うよ!!絶対!!絶対太刀打ちできないよ!!
「初めまして、スクールカウンセラーの茂木 菜都実です。」
うわぁ……。大人っぽくはないけど、雰囲気が柔らかくて、可愛い人……。悠太はこうゆうのが好みなんだ。
「あの、悠太は……」
「悠太?」
「小崎悠太です。ここ、来ましたよね?」
まずは、先生が悠太の事をどう思ってるのか訊いてみよう。
「あぁ、小崎君。じゃあ、もしかして、あなた芦原さん?」
「そうですけど……。」
何!?悠太は先生に私の話もしてるの!?
「小崎君が幼なじみがいるって言ってたから、そうかな?って思ったの。ゴーレムが好きなんだよね?」
「え…………まぁ……。」
真顔で訊かれると照れる。めちゃくちゃ恥ずかしい……。恥ずかしいけど…………負けない!!気合いだ!!
「悠太は、何を相談しに来てるんですか?」
「それは…………ちょっと言えないかな。芦原さんは何の相談に来たの?」
「それは…………」
ど、どうしよう……!!先生に会いに来ました。なんて言えないし、ましてや、噛みつきに来ました、とも言えないし…………
噛みつくって…………何?どうするの?
一瞬先生の手を見た。
いやいや、普通に噛みつこうとしてどーすんの!?そんな事やらないし!バカじゃないんだからやらないし!!
じゃあ…………悠太は私にメロメロで、先生には興味ない。ってそう伝え無きゃ…………興味あるのは、あるのは…………
私は携帯に入っていた、ギラっギラにデコったゴーレムのフィギュアの写真を見せて言った。
「悠太は…………このゴーレムに嫉妬してるんです。」
よし、言った!!これでどうだ…………!!
「…………。」
先生は私の顔を見たまま、言葉を失っていた。え…………そんなにショック!?本当は先生の方が悠太を誘惑してた!?嘘でしょ!?
「そっか…………そうなんだ。」
先生は頭を抱えてそう呟いた。
辺りは、妙な静けさが漂っていた。廊下の水道の、滴が落ちる音が…………妙に響いていた。