表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
55/90

裏切り者


55


突きつけられた事実は…………思ったより重かった。今でも、昨日の事を思い出すと…………胸が苦しい。


罪悪感で…………加島の顔がマトモに見られなかった。


せめてもの救いは、夏休みに入って、加島と顔を合わせるのは部活だけという事だ。


「お前ら…………何かあった?」

「え?」

先輩にそう言われて、加島と声がハモってしまった。


「今日、なんかお互い、よそよそしくねーか?」

「おい、そこは突っ込むなよ。お前野暮だな。そりゃ、こいつらにもそれなりの事情はあるだろ。」

それ……どんな事情ですか?


「いやいや、先輩、違いますよ?痴話喧嘩とかじゃないですからね?」

痴話喧嘩…………痴話喧嘩って恋仲の間でやるもんだよな?

「…………。」

「小崎!黙るな!!黙るな小崎!!」


「お前らもうキスとかしたの?」

「キスぅ!?」

また加島と声がハモった。

「お前、それはさすがにデリカシーの無い質問だろ。」


「い、いやいや、先輩、だから俺達違いますよ!」

加島、動揺しすぎだ。それじゃ、まるで僕達が本当に何かあったみたいだぞ?

「…………。」

「だから、小崎!黙るな!!黙るな小崎!!」


黙らずにはいられなかった。何も言葉が出ない。だって…………昨日の事を思い出して…………心臓が破れそうなくらい、胸が苦しかった。


「え……なんか、小崎の顔が赤いぞ?」

「え…………。」

その場にいる先輩達が僕を見て、その後、加島を見て…………引いていた。


「違っ!小崎!顔を赤くするな!お前、マジで勘違いされるから!」

「…………ごめん。ごめん、加島……。」

「いやその、リアルに謝る感じやめろ!」


その後、先輩達も謝っていた。

「謝るとか、リアルな雰囲気になるじゃないですか!やめて下さいよ!!」


ごめん…………加島…………。


僕はバカだ。


僕にはもう、加島と笑う資格なんかないんだ。僕は…………裏切り者だ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ