お邪魔虫
51
みんなで、いつも茂木先生のいる教室の見える所まで来た。ミホは人差し指を口の前で立てていた。みんなで足音を消して、教室に近づくと……
「ダメだよ日野君……こんな所……」
「大丈夫ですよ、菜都美先輩。多分、誰も来ませんから……。」
え…………?ちょっと!ちょっと!ちょっと~!マジ?マジなの……?こんな所で?
「もういいよ。もう、パンツ見せて外に出てさ、俺が鼻血出しすぎて出血多量で死ぬから、密室遺体ができたら、警察呼んで謎解きしてよ!じゃ、はい、どうぞ!」
「バカじゃないの?何変態宣言してるの?」
「さだまさし?…………それ、」
「関白宣言!」
って…………何の話!?そのうち、加島と小崎が話し始めた。
「始まった?」
「いや、全然?」
だろうね。
「何やってんだよ日野~!」
「加島声が大きい。」
何やってるって、何かやってたら大問題だよ!!
思わず私も口を挟んだ。
「教室で?あり得ないでしょ。」
「密室だよ?密室ではラブロマでしょ!」
ミホ……密室にしたのはあんたでしょ?密室=ラブロマって何情報?
そう期待半分、呆れ半分で中の様子を伺っていたら、茂木先生に見つかった。
「あんた達~!!今すぐ開けて!!」
「うわっ逃げろっ!」
条件反射で、何故か全員でその場から逃げ出した。
「あははははは!びっくりした~!」
「あはははは!後でめっちゃ怒られるな~!」
校門の外まで来て、みんなで大笑いした。
「何で私達まで~?あ!ドアの所!外さなくていいの?」
「ちーちゃん大丈夫!あれね、本当は足元の窓の鍵は開いてるんだよ~!」
なんだ。いつでも出られるんだ。じゃあ、私達はお邪魔虫って訳ね。
「でも、これでさ、茂木先生結婚したらいいよね!茂木先生じゃなくて、日野先生になるかな~?楽しみ~!」
「茂木先生まだ新卒くらいの年だろ?まだ結婚しないだろ?」
「何?悠太、まだ茂木先生に未練があるの~?」
そういえば、そんな話もしてたっけ。
「未練って何だ?茂木先生好きになった事なんか一度もないけど?」
「そうなの?じゃあ…………」
ミホは、それ以上の言葉が出なかった。
「じゃあ……?」
「何でもない!あ、ちーちゃんは電車だよね?」
じゃあ…………誰が好きなの?
きっと、その言葉の答えを聞く勇気がなかったんだと思う。未練があるのは…………ミホの方だ。
「うん、私電車だから。」
「あ、俺も。」
「バイバ~イ!また明日ね!」
小崎とミホを残して、駅前で別れた。
今日は1人で帰ると思っていたのに…………加島と二人きりとか…………
気まず……。