不法侵入
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いや、あの…………これ、不法侵入じゃないの?
「茂木先生~!不審者連れて来ました~!」
「不審者!?ダメだよ!不審者を中に入れたら…………」
菜都美先輩は俺に気がつくと、芦原さんにもう一度言った。
「芦原さんダメだよ!!不審者を中に入れたら!!」
俺の事、完全に不審者扱い!確かに校門でかなり不審者だったけど!!
「だって……日野さん、校門で私達の事黙って見てたんですよ?話全部聞いといて、やぁ偶然とか言っちゃって!」
ヤメテー!!それ言うのヤメテー!!
「うわ~悪趣味~!ここに来なかったら、今頃通報されてたね。私は今すぐにでも通報したいぐらいなんだけど。」
引いてる…………菜都美先輩が干潮の波のように引いている!!
「どうやって入ったの?不法侵入?」
「ちょっとちょっと、これ見て、これ。」
俺は胸にぶら下がった許可書を見せた。
「私のお兄ちゃん、卒業生です。って言ったら、事務員さん入れてくれた~!」
「それこそ不法侵入よ。今すぐ外に出て。」
「ちょ、待って下さいよ!!少し!少しだけ話を聞いて下さいよ!」
菜都美先輩は俺に背を向けて言った。
「今は…………何も話す事はないの。帰って!!」
そこまで言われたら…………帰るしかない。そう、思って教室の引き戸に手をかけると…………
「あれ?…………開かない。」
すると、教室の外から声が聞こえて来た。
「先生~!話が終わったら開けに来ますから連絡くださいね~!」
「ちょっと芦原さん!?話する事なんてないの!!本当に!今すぐ開けて!!」
「私、体育館の悠太の様子見て来ますね~!じゃ!」
そう言うと、軽やかな足音がだんだん遠ざかって行くのがわかった。
密室に…………閉じ込められた!!
これってチャンスじゃね?アタックチャンスじゃね?
第1問、人は閉じ込められた場合何をしますか。
ピンポーン!白、茂木さん!
『窓の外をチェックします。』
正解!!茂木さんはどこへ?
『ベランダ!』
おっと、ここで白がベランダへ飛び込んだ!ここは三階だ。外には出られない。という事で、続いて第2問!
って1人アタックチャンスやってる場合か!!