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怪しいやつ


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好きだと伝えれば、伝えられたその人は自然と好きになるとか…………それって脈のある人だけじゃね?


その脈って…………どうすりゃわかるの?一体誰が教えてくれるの?


菜都美先輩と連絡が取れなくなって、2週間近く経つ。今さら何の弁解もしようがないけど…………来てしまった。やっちまった……。


ヤバい。俺ヤバいよ。


職場の前で待ち伏せって…………俺、ヤバくない?一応菜都美先輩に連絡したけど……既読にさえならない。


あ、知り合い出てきた!えーと、あれは確か小崎の幼なじみの……。


俺が話しかけようと近づくと、何やら二人で話をしている様子だった。


「芦原さん、俺、芦原さんの事、本気で好きなんだ。」

えぇええええ!!このタイミングで告白!?ここ校門だぞ?ムードもへったくれもない!!


あれ?あの子…………芦原さんだっけ?隣にいるのは…………よく見たら小崎…………じゃない!!小崎の友達のバスケ少年の方だ!!じゃあ……これって……三角関係!?


この前、男と女の勝負って言ってたけど……むしろこっちが本当の勝負だな。


「加島君…………あのね、あの…………無理!!」

「いや、無理とか無理!!」

「いやいや、無理だよ。」

「いやいやいや、無理とか無理だから。」


バスケ少年、それ断られてるよ!ガッツリ断られてるから!そこまで粘るとか……ハートが強いな!!


「芦原さんが俺の事好きになるまで待つ!!それまでは…………何もしない。」

そこは紳士だな。偉いぞ少年。

「でも、できるなら…………これから沢山、二人の思い出作りたいな。」


俺は思わず自分の顔を隠した。自分が言った訳じゃないのに、何だか恥ずかしい。マジかぁ…………これが若さか~!なんだろう……甘酸っぱいというか、ほっこりするというか……。


「あ、日野さん!」

ヤバい!芦原さんに見つかった!立ち聞きしてたのがバレる!!

「やぁ、偶然だね。」

高校の校門の前で偶然装ってる大学生ってやっぱり怪しいよなぁ……。


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