告白
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それなら、俺は悪役になる。
悪役になって…………砕け散ればいいんだろ?
下駄箱で靴を履き替えていると、野々村に声をかけられた。
「加島!部活終わり?」
「どうした?」
「一緒に帰った事もないんでしょ?ミホを足止めしといた。」
そう言って野々村は、後ろに隠れていた芦原さんを出して、芦原さんの背中を押した。
「ほら、少しは彼氏に甘えて来なよ。」
野々村……。サンキュー!!持つべきものは彼女の親友だな。
俺は靴を履くと、芦原さんの手を取ると、校門へ向かって歩き出した。
「ちーちゃん、また明日!」
俺に手を引かれた芦原さんが後ろに手を振った。
この笑顔も、この声も、この手の温もりも、今だけは…………今だけは俺のものだ。
俺だけのものだ。
俺は諦めない。格好悪くてもいい。だって、やれないと言ってやらないよりは、格好悪くてもやった方がいいんだよな?なぁ?小崎……。
俺は、茂木先生の言葉に、こう返した。
「誰かの顔色って……小崎ですか?」
「小崎君と……あと、芦原さんも。何だか加島君は、芦原さんを見てないよね?加島君は……小崎君の事ばかり気にしてるように見えるよ?本当に芦原さんが好きなの?」
今まで気がつかなかった。茂木先生にそう言われるまで、全然。
その時、やっと気がついた。
俺、芦原さんにちゃんと告白してない!
校門を出てすぐ、俺は足を止めた。そして、芦原さんに言った。
「芦原さん、俺、芦原さんの事、本気で好きなんだ。」
悪いのは…………俺だ。
いや、違う。
小崎、お前のせいだ。