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フェアじゃない


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何だか…………ポンコツだけど、コツコツ練習を重ね、地味にバスケが上達していく小崎を見て…………ムカついた。


『ある人に言われてから、諦めない事にしてるんです。苦手な事を、やれないと言ってやらないよりは……格好悪くてもやった方がいい。そう、言われたんです。』


ある人って芦原さんだろ?何だよ。俺との間を勘違いさせといて、結局は芦原さんの事忘れられないでいるんじゃないのか?


小崎、それはずるい。


俺は空箱みたいな言葉ひとつで、芦原さんに触れる事もなく、言葉を交わす事もなく、首の皮一枚にすがりついているのに……。


お前は今までの芦原さんとの時間を…………そうやってひけらかすのか?逃げたクセに……!!


そうやって…………幼なじみを出して来るのは卑怯だ。自分の中で、白の中に黒い何かが流れ込んで来た気がした。


練習が終わっても、小崎は練習を続けた。…………小崎を見ていると、腹が立って仕方がない。


俺は小崎が持っていたボールを奪って、ゴールに入れた。

「加島…………?」

「小崎、小崎は芦原さんの事……どう思ってんの?」

「どうって?ただの幼なじみだ。」

小崎はそう答えながら、意外という顔をしていた。


ボールを手にしていれば少しは安心した。安心して、冷静に話ができる気がした。俺はドリブルをしながら小崎と話をした。

「いつから俺の気持ちに気づいてた?」

「初めて…………美帆乃を紹介した時。」

最初からかよ……。


「俺、本当に芦原さんと付き合うぞ?いいのか?」

「俺に許可なんかいらないだろ?加島と美帆乃の自由だ。」

何が自由だよ。全然小崎は芦原さんを束縛してるんだよ。


「美帆乃が…………催眠術にかかったふりをした時から考えてた。美帆乃は僕を縛ろうとした。けど、本当は…………僕が美帆乃を縛ろうとしてた。それじゃいけない。それじゃ…………フェアじゃない。」

「はぁ?!」

ムカついた。やっぱりムカつく。


「最初っからそんな事わかってるっつーの!今だって全然フェアじゃねーんだよ!ふざけんな!!」

俺はムカつき過ぎて、ボールを小崎に思い切り投げて体育館を出た。


茂木先生の言葉を思い出した。

「先生、この前友達にこう言われたの。恋愛に、正義も悪もないと思う。ただ、愛された方が勝者。勝った方が正義。誰かの顔色を伺っていたら、いつまでも勝てないって……。」


当て馬は嫌だ。みんな仲良く、仲良しごっこなんて無理なんだ。


やっぱり、芦原さんを好きになった時点で、俺は…………諦めるか、悪役になるか、どちらかしかの選択肢しかないのか?


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