失恋
40
「小崎君は何て言うか……独特よね。つい最近まで私、小崎君が加島の事好きなのかと勘違いしてたの。だって、小崎君全然説明が足りなくて……」
説明が…………足りない?
「この前急に、別に加島君と付き合いたい訳じゃないって言われて……。」
じゃあ……やっぱり……『加島を好きになっている。』の意味は…………
「小崎君は少しアウトプットが下手なのかもね。思っている事をちゃんと表現できないんじゃないかな?」
やめてよ先生……。するべきじゃない期待を…………無謀な期待しちゃう。悠太の真意は別にあるんじゃないかって…………勘違いしちゃいそうになる。
小学生の時の事を思い出した。あれは何年の時だっけ?ちゃんと思い出せない。あの頃は悠太はすごく無口で…………今よりもっと誤解されてた。
「違うよ。悠太のさっきの、うん。は、いらないって事じゃなくて、いるって事だよ。」
昔から側にいたせいか、悠太の足りない言葉が何となくわかった。
「美帆乃、ありがとう。」
フォローすると、悠太はいつも笑顔でそう言った。その笑顔を見て、私は悠太に必要とされてると思った。
大きくなるにつれて、悠太も少しづつ、思う事を他人に伝えられるようになってからは…………その笑顔は見られなくなった。
「じゃあ、どうして芦原さんの誤解は解かないの?って聞いたの。」
「誤解を解く必要がないからですか?」
「誤解を解けば、自分の側から離れて行くから。だって。意味わかる?」
それは、離れて欲しいの?離れて欲しくないの?
わからない。今はもう…………悠太が何を考えてるのかわからない。今はもう、悠太が遠い。
私は、悠太にとって、もう必要ないの?
私…………悠太から卒業しなきゃいけないの?
私が悠太につきまとうから、悠太は加島君を好きになれって言ったの?
私達、あの頃まま、ずっと一緒にはいられないの?
そう思うと…………胸が熱くなって、涙がこぼれた。おかしい。フラれた時には…………出なかったのに。何で…………今?
「え?芦原さん、どうしたの?私、何か気に障る事言った?」
「うんん。ごめんなさい。先生…………私、フラれちゃった……。」
「ええっ?」
どうしよう……。
涙が…………止まらない。