心が痛む
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どうしよう…………。
今さら、ウッソデ~ス!!とか言えない雰囲気になっちゃった……。
いや、普通冗談だと思うでしょ?!悠太、私の事何だと思ってるの?まさか悠太があんなに本気で信じるなんて……思ってもみなかった。純粋と言うか、バカというか……。悠太は昔から真面目なんだよね。悠太の反応を見て、少し悠太が可哀想になった。
悠太を思うと心が傷んで、冗談で催眠術にかかったふりをした事に後悔した。だからもう、ちゃんと悠太に話さなきゃ!!催眠術にかかったふりをしてたって。
放課後、悠太の家に呼ばれた。
「あの、あのね、悠太……。」
「これで目が覚めます!!はい!!」
悠太は催眠術の本を読みながら、私の目の前で手を叩いた。
あの…………私、もう目が覚めてるんだけど……。
「ゴーレムは?」
「好き。」
条件反射でそう言ってしまった。
「じゃ、次目薬。」
悠太は次に、私に目薬を打った。うーん。スッキリする~!って違ーう!!
「ゴーレムは?」
「いや、あのね……。」
「ダメっぽいな……。次はどうしよう……。あ!風呂場に行こう。」
お風呂ぉおおおおお!?ちょ、ちょっと待って!!
私はお風呂場で前屈みに頭を下げられて、頭から冷水をかけられた。え…………?えぇ?
髪からポタポタ水が滴り落ちた。
なんか…………ここまでして催眠術解きたい?話も聞かないで、とにかく解きたいの?なんか…………ムカついて来た。悠太はまるで、自分の犯行の証拠を消そうとしている犯人みたいだった。
「悠太、これ、何の意味があるの?もう帰っていい?私これからゴーレムとデートなの。」
ムカついたから、そう言ってしまった。
その一言を聞いた悠太の顔と言ったら…………!!なんて顔してるの!?キツネにやられた?つままれました?
「じゃ、またね~!」
私は笑いを堪えて、外に出た。悠太の顔を見たら、何だか楽しくなって来ちゃった!やめるのやーめた!
だって、私がゴーレム好きでいれば、悠太は悩む。悩んでいるうちは、私の事を考えていてくれる。
そのために、ゴーレムを好きになったふりをしたんだから。