誠実な人
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ちーちゃんは、少し寂しがりやなんだと思う。今まで色々な人と付き合ったのは、きっと寂しいからだと思う。それを悪く言う人もいる。
私に彼氏ができれば、ちーちゃんは不安になるかな?ちーちゃんにも彼氏ができるまでは……言わない方がいいかな?
「何で自分が競技できないのに、競技してるやつの世話しなきゃなんないの?」
「よし、決めた!!みんなでマネージャーになろう!!」
「はぁ?」
加島君と付き合う事になった事は、誰にも言ってない。
「ちーちゃんも一緒に悠太を応援して!」
次の日から、どうしていいかわからなくて…………あからさまな態度は示してない。悠太やちーちゃんの様子を見ると、まだみんな知らない。きっと加島君も言ってないんだと思う。
「応援って……どっちの?」
「どっちってどっちの?」
「それは、その……バスケ?恋愛?」
悠太にバスケの応援なんてしてもしなくても同じだよ。
「恋愛かな?」
「そんなの、応援してもらいたいのはこっちの方だよ~!」
それはそうかも。ちーちゃんには、ちーちゃんを幸せにしてくれる人がいいな。ちーちゃんにピッタリで、ちーちゃんをちゃんと愛してくれる人で、ついでにイケメン、高身長、高学歴。
「まぁ、そこは多少妥協しよう!!」
「何を!?応援??応援を妥協って?」
放課後、茂木先生にその事を相談したら…………
「そんなの私が紹介して欲しいくらいだよ!」
そりゃそうだ。
「えっと、それ、妥協した方ですか?妥協しない方ですか?」
「妥協…………した方。」
うっわ~!!二十歳越えるともう崖っぷち?嘘!?嘘でしょ!?
「というのは建前で、妥協しない方。」
「ですよね~!」
「それにつけ加えるなら、誠実な人。いや、それが最重要。」
先生、何かあったのかな~?
誠実かどうかと言えば…………悠太はこの上なく誠実。嘘がつけないバカ正直。その正直な人から、正直な気持ちで、加島とつき合えと言われたら…………そうするしかなかった。
「悠太のバカ!バカ!バカ!バカバカ!バカ~!!」
「あ、芦原さん落ち着いて。」