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いっそのこと


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「そっか、小崎君は加島君と付き合いたいとかじゃないんだ。」

「茂木先生も勘違いしてました?」

「だって全然説明不足で加島君とキスとか言うから!勘違いもするでしょ!?」

他人に説明するって難しいな……。


「じゃあ、どうして芦原さんの誤解は解かないの?」

「それは…………」


バスケの試合の数日後、美帆乃は家に来て、何を話す事なく、黙って座っていた。


「やっぱり帰る。」

そう言って立ち上がると、何故かまた座った。


「悠太は…………変わったね。」

「美帆乃の方が変わった。」

「変わってないよ!今までの私は、ずっと悠太に合わせてた。でも、催眠術にかかったふりして、本当の私を見て欲しかった。こっちが本当の自分。」


じゃあ…………今までの美帆乃は何だったんだ?今までお前と過ごした時間って…………何だったんだ?


ゴーレムが好きだろうが、MJが好きだろうが、関係なかった。


ただ…………僕は置いて行かれるのが嫌だったんだ。催眠を解いて、元の美帆乃に戻れば、戻れる気がした。でも、もう催眠は解けた。もうこれ以上、戻る事は何もない。


置いて行かれるくらいなら…………いっそ…………


僕は美帆乃の顔の前に手を置いて言った。

「あなたはだんだん眠くなる。だんだんだんだん眠くなる」

「え?何?また催眠術かけるの?」

美帆乃は笑っていた。


いっそ、美帆乃も、加島も、幸せな方がいい。


「今度は何?スライムが好きになるとか?」

「目覚めた時には…………加島を好きになる。」

その言葉を聞いた美帆乃は…………もう笑ってはいなかった。


茂木先生、僕は、美帆乃に魔法をかけました。


それは、美帆乃が、二人だけの世界から、飛び出して行けるように……。


置いて行かれるなら…………自分から一人になった方がマシだ。


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