バカか?
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試合が終わった後、加島は落ち込んでいた。
「何で勝ったんだぁ~!俺はバカか!?」
バカかバカじゃないかと問われれば…………どちらかと言えば前者の方だと思う。
「加島……僕の事本気なのか?」
「んな訳あるか!!」
それを聞いて安心した。
「あんなに本気出してたから、てっきり僕の事本気で得たいのかと思った。せっかく自然に負けやすいように同じチームに入ったのに……。」
加島はゴミをゴミ箱に投げて言った。
「あの……野々村?野々村が結構マジでやるから、ついこっちも熱くなりすぎた。あいつ、根性あるからバスケ部に欲しい!まぁ、正直バスケが楽しすぎて賭けの事忘れてた。」
加島、俺はバカか?の問いに答える。
「加島は……バスケバカなんだな。」
「俺はバカだ!誤解を解くチャンスを棒にふるとか…………いや、待て?そもそもはお前が勘違いさせたんだよな?お前が解けよ!!」
そこにやっと気がついたか……。加島はやっぱりバカだな。
「美帆乃に応援されてるから、もういっそのこと付き合うか?」
加島は思わず俺から身を引いた。
「やめろ。たとえ催眠術かけられてもお前とは付き合わない。」
「催眠術かけてみる?」
売り言葉に買い言葉なだけだった。
「まさか、それが目的で催眠術かけようとしてたのか!?最初から俺が目的か?」
「…………。」
「小崎!黙るな!!黙るな小崎!!」
そんな冗談を言い合えるのは…………加島がまだ、美帆乃に告白しないからだ。
僕は、もし加島がフラれたらどうすればいい?なんて言えばいい?
加島はなんて言うだろう?
逆に、美帆乃と付き合う事になったら…………僕は…………
どう思うんだろう?
加島が嫌いになる?美帆乃が嫌いになる?二人を祝福できるのか?
わからない。
「加島、C組の野々村が顔貸せって。」
「何?ちょっと行って来る。」
加島が野々村に呼ばれて廊下に出て行った。
すぐに帰って来た後、すぐ席に着くと頭を抱えた。
「どうした?野々村、何の用だった?」
「俺はバカだ…………!!」
あ、うん。それは知ってる。
「なんか……なんかムカついて、つい…………いらん事言った。うわぁ……俺、最低だ。」
バカか?最低か?どっちだ?