自分勝手
33
試合に…………負けた。
久しぶりのスポーツ楽しかった!!私は満足だった。
私は満足だけど…………
これで小崎は加島のもの。小崎が加島のもの…………リアルに笑える。
加島が終了時間ギリギリに放ったシュートが奇跡的に入って、思わず勝ってしまった。その時の加島の顔が…………やってしまった!!という顔が…………思い出すと今でも笑える。
それよりも…………ミホの落ち込み様といったら……正直……ウザイ。
「うぇえええええ~!!悠太が加島君の彼氏にぃい~!!うぇえええええ~!!」
「いや、だから、加島は小崎が好きな訳じゃないから」
何で私がフォローしなきゃいけないの?!めんどくさい!加島早く告れ!!
私はしびれを切らして、加島に言いに言った。
「加島、ちょっと顔貸してくれない?」
「何?加島シメられるの?」
「うるさい!」
イライラした。
加島が廊下に出て来ると、私は加島に迫った。
「加島!!早く告れ!!早く!!早く早く!!」
「近い近い!野々村近い!」
「お~!野々村積極的だな~!」
入り口側の男子が茶化した。
「バカ!私にじゃないよ!自分が自分に告れとか言うくらいなら、自分から告るっつの!!」
「あの……いや、それは……その……。」
「それとも何?私に惚れちゃった?お前単純なの?チョロいな。チョロ松か?」
腹が立ち過ぎて、いらない事まで言ってしまう。
「はぁ?そんな訳ないだろ?」
「じゃあ、さっさと告って誤解を解いて!こっちは迷惑してんの!ミホが落ち込んでるの!小崎を取られたって落ち込んでるの!そこにつけこむなら今でしょ!?」
「今でしょ?は古いだろ?」
加島の一言にさらにイラついた。
「はぁ?茶化してる場合じゃないでしょ!?バカにしてんの?」
「野々村、お前さ、芦原さんと友達なんだろ?芦原さんの事までめんどくさいとか思ってる?」
「…………。」
図星過ぎて、言葉を失った。
「それって……自分の事しか考えられてないんだな。だからフラれるんじゃね?」
「だ……だから何?私が誰にフラれようがあんたに関係ないでしょ!?大きなお世話!!」
ムカつく…………!!ムカつくムカつくムカつく…………!!
何がムカつくって…………それは、事実だから。わかってるよ!!自分でもわかってる!!
それでも…………ミホが加島と付き合えば、少なくともミホは辛くない。小崎が捨てられても、ミホだけは幸せになれる。
自分勝手かもしれないけど…………その選択は間違ってない……。そう思う。