お前のせい
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よくもまぁ、恋愛のためにそこまで汗かけるね?
何だか…………ある意味うらやましい。
しかも、好きな人とライバルの男を取り合うとか…………加島の奴、何考えてんの?
ミホに…………ちゃんと伝えればいいだけじゃん。本当は、小崎じゃなくて、ミホが好きだって。
そんな事がどうでもよくなるほど…………小崎が下手すぎる!!
いつの間にか…………私まで、汗をかいていた。バカだ。何熱くなってんの?
「お前…………野々村、意外とやるな!」
「これくらい誰でもやるでしょ?加島も意外とやるね。でも、バスケ部員にしては下手くそ!」
「はははは!言ってくれるじゃねーか!」
熱くなるのって楽しいかもしれない!!思い切り体を使えば、スッキリしそう。
加島にディフェンスかわされた!!
「スティーブ!加島を止めて!」
「おい、スティーブ反則だろ?」
「どこが?バスケ部相手にこれくらいのハンデ当然でしょ!?」
英語の先生、スティーブば身長が2メートルある。あの巨大な壁に、さすがの加島も苦戦している。
そして、私が真面目にやってる側から、ミホは小崎にパスし続ける……。
「コラ!ミホ!小崎にパスしない!!」
「だから美帆乃!何で敵にパスすんだよ!!僕にパスするの止めろ!いらないから!!パスいらない!!」
「ダメだよ悠太!悠太も加島君にいい所見せたいでしょ?」
小崎が加島に良い所見せてどうするの?
ミホ、いつの間にか小崎の事応援しちゃってるし……。ミホが小崎を溺愛しすぎて、加島との関係を許したらどうするんだろう?加島小崎と付き合うのかな?
あ~!でも…………コートでいちゃつくなよ!!ただでさえポンコツなのに!!二人を見てるとイラつく!!
私がイラついていると、加島が軽く背中を叩いて言った。
「まぁまぁ、あっちはほっとけ。ポンコツ二人はほっといて、こっちはバスケを楽しもうぜ!!」
何、爽やかバスケ少年気取ってんの?そんなの…………ミホに向けて言えよ加島のバカ……。
そもそも加島がハッキリ言わないせいじゃん!!
「お前のせいだバカ!!」
「俺のせいかよ!?」
すると、笛の音が聞こえた。
「そこ~!もめるな!そこがモメ始めると、もう試合が成立しない!」
「すみません!大丈夫です!」
「じゃ、再開~!」
私はドリブルをしながらパスの相手を探した。目の前には加島。スティーブは三人に囲まれてる……。ミホにパスしたら必然的に小崎に回るし……そこを取るか!!
私はミホにパスして、小崎に渡したら、小崎からボールを奪おうとミホにパスをした。
そのまま小崎の方に走ってボールを奪おうとしたら、小崎の足がひっかかって、倒れそうになった。
「うわっ!!」
「ちーちゃん!」
でも…………あれ?
加島が背中を支えてくれて、私は倒れずに済んだ。ボールが弾む音が響いた。
「小崎、ファウル!」
「…………どこ触ってんの?」
「え?あ、悪い!!」
加島は慌てて私から手を放した。
「嘘、冗談。加島、ありがとう。」
この時は、よくある事、なんて事ない出来事、そう思っていた。