根元の所
3
「という訳なんです。あ、デコられたゴーレムの写真見ますか?」
「あ、いいよ。この前本人から見せられたから……あ、見せてもらったから。」
先生今、完全に見せられたって言った……。
元木先生は思ったより若い女の先生だった。若過ぎるくらいだ。てっきりお婆ちゃんに近いオバさんか、オジさんかと思っていたから、最初は少し驚いた。
「そういえば芦原さん、この前私の所に来たよ~?悠太は何に悩んでるんですか?って聞かれたよ。」
お前の事で悩んでるんだけどな!
「カウンセラーの所に相談してるって知ったらきっと、君の事心配になったんだろうね。」
美帆乃が…………?僕の事を?
「ギラッギラのゴーレムの写真を見せながら言ってたよ?」
な、何を…………?
「君が…………ゴーレムに嫉妬してるって。」
してねぇー!!MJにはしたけど、ゴーレムに微塵もしてねぇー!!
「先生、僕はどうしたらいいですか?」
「君は、どうしたいの?」
どうしたい…………?それは、元の美帆乃に戻って欲しい。以前の普通の美帆乃に…………!
「ものは考えようでさ、芦原さんただゴーレムにハマっただけじゃないの?根元の所も変わったの?」
根元の所…………?根元ってどこ?
「元の芦原さんって、どんな子だったの?」
元の美帆乃……?
ああなる前の美帆乃ってどんな奴だっけ………?
まず、美帆乃はあまり笑わない。二人でいても基本静かだった。
「ぎゃはははは!!」
「ミホウケる~!」
でも今は、クラスメイトにゴーレムをいじられて、いつも笑っている気がする。
それに、美帆乃は自己主張をあまりしない。好きな物を好きと言わない。だから、僕は美帆乃が何を好きなのか、あまり知らない。
「黄土色も好きだけど…………ちょっとブルーのやつも好き!!」
でも、今は好きな物は明確だ。
僕は美帆乃が隣にいるのが当たり前で、隣にいた美帆乃の事をもっと知ろうとは思わなかった。
確かに、昔から好きな物があると、夢中になるクセはあったけど……ここまでになった事があったか?
もうすぐ授業が始まる……。僕はモヤモヤした気持ちは消えないまま、教室へ戻った。