お願い
29
久しぶりのデートだってのに……ずっと高校生の相談ばかり……。
「どう思う?」
どう思うって…………正直、話の内容の情報が少なくて、話が漠然としていてなんとも答えづらい。
菜都実先輩が珍しく二人きりで飲んでもいいって言ったのは、ただ単に話し相手が欲しかっただけか……。
いつになったら…………魔法が解けるんだよ?
俺は持っていたビールのグラスを置いて言った。
「それより、菜都実先輩、俺の様子を見てどう思います?」
「何?高校生相手に妬いてるの?」
「わかってるんじゃないですか!わざとですか?」
菜都実先輩は少し笑った。
「わかってるよ。日野君は心が狭いもんね。」
「そうそう、心が猫の額くらい……ってコラ!」
「ごめん、ごめん。実はね、お願いがあるんだけど…………」
お願い?菜都実先輩のお願い…………?珍しい。
「日野君、バスケ得意だったよね?」
「まぁ……高校の時バスケ部でしたけど……」
「バスケ教えて欲しいの!」
え!?菜都実先輩、バスケやりたいの?先輩とバスケデート!?
「芦原さんに。」
「は?アシハラ?」
芦原って…………?芦原って誰?
「できれば小崎君にも……。」
小崎…………?小崎って誰?
「じゃあ、その先輩のお願い聞いたら、俺のお願いも聞いてもらえますか?」
「いいよ?可能な限りね。」
「じゃあ…………今度こそ付き合ってください。」
菜都実先輩はその言葉にキョトンとした。何故キョト顔するんですか?
「てっきり…………同棲の話かと思ってた……。」
「え?あ、そうだ!いや、そっちの方で。それでお願いします!」
そうだった!その話を忘れてた!
「そっちでって……じゃあ、日野君の教え方次第って事で。」
「え~!!それズルいっすね!」
まったく…………惚れたら負けってこうゆう事なんだろうな。